2014 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療用重厚臓器の創製に不可欠な生体と類似の毛細血管網構築手法の開発
Project/Area Number |
25820383
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
武井 孝行 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (90468059)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 血管網 / 再生医療 / ファイバー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、微細な中空ゲルファイバーを用いて、再生医療分野で必要とされている体積の大きな生体組織を作るために必要な毛細血管網の作製方法、およびそれを利用した生体組織構築法の開発を目的とした。 平成25年度は、血管内皮細胞の接着が可能な中空部内壁を有する中空ゲルファイバーの作製に取り組んだ。具体的には、従来のアルギン酸ゲルファイバーの細胞接着性は極めて低いため、高い細胞接着性を有するゼラチンをファイバー内に組み込んだ。ファイバー内にゼラチンをただ添加しただけではファイバーからゼラチンが溶出してしまい、十分な細胞接着性を付与することはできなかった。そこで次に、ファイバー内のゼラチン分子を架橋した。なお、架橋剤としては細胞毒性が極めて低いものを使用した。その結果、中空部内壁への血管内皮細胞の接着が可能な中空ゲルファイバーを作製できた。 平成25-26年度にかけて、肝癌細胞株をゲル部分に包括した中空ゲルファイバーの中空部に培地を流通させながら培養を行った。具体的には、肝癌細胞株をゲル部分に包括した200本の中空ゲルファイバーの束を作製し、その中空部に培地を流通させた。培養1週間後にファイバーを観察したところ、ゲル部分に包括した肝癌細胞株は増殖しており、その数は培養1日目よりも4倍多かった。また、1細胞あたりのアルブミン生産速度は培養1日目と7日目で差がなかった。つまり、本研究の疑似血管網を利用することで、全細胞に十分な酸素および栄養素を供給できた。また、ファイバーの中空形状を保ちながらゲル部分を液化することにより、細胞増殖をより促進することができた。さらに、上記ファイバーの束の両端を径の大きなゲルチューブに繋ぐことにより、疑似毛細血管網が1本の動脈・静脈様流路に収束する流路ネットワークを作製した。
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