2013 Fiscal Year Research-status Report
マイクロバブルの溶解・収縮を利用した結晶核生成機構の解明
Project/Area Number |
25820389
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤岡 沙都子 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (50571361)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マイクロバブル / マイクロ流路 / マイクロチャネル / 溶解・収縮 / 気泡 / 物質移動 / 晶析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、マイクロバブルの溶解及び収縮を利用した結晶核生成機構の解明と定量的なモデル化である。まずは、マイクロバブル収縮挙動の観察が可能な系を確立するため、Flow-focusing型のマイクロ流路内を用い、液相に超純水、気相に窒素を用いてマイクロバブルを安定的に生成できる操作条件の探索を行った。マイクロ流路に送液する気液の流量を変化させ、流動状態を高速度カメラにより撮影したところ、3層流、2層流、スラグ流、不均一気泡流、均一気泡流、の5つの流動状態をとることがわかった。また、均一気泡流となる条件下で画像解析によりマイクロバブル径を測定したところ、約100-200μmのマイクロバブルを安定的に生成できることがわかった。また、液相にグリシン水溶液を用いた場合にも超純水の場合と同様の結果が得られた。 次に液相をグリシン水溶液あるいはスクロース水溶液、気相を窒素としてマイクロ流路内にマイクロバブルを生成した後、気液の送液を止め、流れを静止させてマイクロバブルの収縮挙動をマイクロスコープにより観察した。マイクロバブル径の経時変化を測定し、マイクロ流路内で完全に溶解するまでに要する時間を求めたところ、マイクロバブルの特徴であると考えられている急速な溶解とはならなかった。これは、今回用いたマイクロ流路の流路深さが小さく、流路内で気泡が球形とならず扁平につぶれており気液界面積が小さかったためだと考えられる。この問題を解決し、マイクロバブルの急速な溶解挙動を解析可能な系を確立するため、界面活性剤を添加した実験を検討中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
市販のガラス製マイクロ流路を用いてマイクロバブル生成実験を行っているが、マイクロバブルを生成するために必要だと考えられる流体合流後の細いノズル部分に閉塞が起きるという問題が生じている。また、洗浄方法が未確立のため、一度流路壁面が汚染されてしまうとその洗浄に時間がかかり、多数の実験を繰り返すことが困難である。この問題を解決するため、流路を設けたPDMS樹脂板とガラス底板から成る、分解洗浄の可能な流路を製作したためその設計、製作、流動特性の把握に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ガラス製マイクロ流路(市販品)およびPDMS製マイクロ流路(特注品)の両方を用い、界面活性剤を添加した系でマイクロバブルの収縮挙動を観察および解析する。また、液相に使用する水溶液について密度、粘度など物性の調整を行うほか、溶質の種類を変更するなどして広範囲な物性での収縮挙動を明らかにする。 さらに、溶解挙動を明らかにするため、レザズリン等の呈色試薬を用いて液相中の溶存ガス濃度の定量化を試みる。当初はレーザ誘起蛍光法を用いた濃度場の可視化を想定していたが、レーザ実験装置を所有する海外での実験遂行が困難であることが予想されるため、呈色試薬を用いる方法への変更を予定している。 溶解挙動解析の準備が整い次第、数値計算を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験に用いるマイクロ流路の閉塞問題への対応策、生成する気泡径が想定より大きいという問題への対応策、及び代替品となるPDMS樹脂製の新規マイクロ流路の設計、製作及び流動特性の把握に時間がかかり、溶解・収縮実験の進行が計画より遅れた。このため、実験に使用するマイクロ流路、試薬およびガラス器具などの使用量が当初の計画より少なくなったため、次年度使用額が生じた。 マイクロ流路を使用するにあたり、気泡径が想定より小さかったという問題点には界面活性剤の添加という対応、閉塞への問題は洗浄方法の工夫および分解洗浄可能なPDMS樹脂製流路の使用で対応する。この目的のため、当初の計画と比べると流路購入のための使用額の割合が増加すると予想されるが、おおむね当初の計画通りに必要な流路および試薬を購入する予定である。
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Research Products
(2 results)