2015 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流体デバイスによる非侵襲的細胞周期同調法の開発
Project/Area Number |
25820397
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
右田 聖 山形大学, 理工学研究科, 助教 (00512302)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マイクロデバイス / 分離操作 / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞周期の同調による細胞の均質化は、クローン技術や遺伝子治療、細胞治療において重要なプロセスとなっている。しかし、現在用いられている方法は、培養液中の栄養を減らし飢餓状態にさらす方法や薬剤を用いて強制的に細胞周期を同調させる方法であり、DNAの損傷によるガン化やアポトーシスを引き起こす懸念がある。本研究では、これらの課題を克服するために、マイクロ流体デバイスを用いた細胞の分離を実現し、細胞にダメージを与えることなく、細胞周期を同調させることのできる新しい手法の創出を目標としている。昨年度までに、DNA合成準備期のG1期細胞では平均して93%の回収を実現した。また、従来の血清飢餓培養法によりG1期に同調させた細胞を通常培養に戻し、細胞周期と細胞サイズとの関係を調べたところ、G1期とS期では数ミクロンの違いしかないことを明らかにした。 本年度は、まずDNA合成期であるS期細胞の分離を目指して実験を進めた。マイクロ流路を利用し、分離を試みたところ、回収された細胞のうちS期細胞が占める割合は最高でも38%にとどまり、S期のみを選択的に取り出すことは困難であるとの結論に至った。ついで、分裂期にあるG2/M期の細胞の分離を検討した。G2/M期細胞のサイズ分布はG1期細胞およびS期細胞とは大きく異なる。この場合も流路内壁のコーティングの効果が顕著に現われ、コーティングしていない場合には回収した細胞のうち20%程度だった回収率が、アルブミンコーティングによって50%まで向上させることに成功した。
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