2014 Fiscal Year Annual Research Report
人工受容体によるWnt経路の解析とその再生医療への応用に関する研究
Project/Area Number |
25820399
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyoto Medical Center |
Principal Investigator |
十河 孝浩 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 展開医療研究部, 研究員 (30561972)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / 受容体 / 抗体 / 心筋再生 / 多能性幹細胞 / Wnt |
Outline of Annual Research Achievements |
1) Wnt3aキメラ受容体の詳細なシグナル伝達の解析:昨年度から引き続き、作製したキメラWnt3a受容体を介したシグナル伝達を詳細に解析した。具体的には、キメラWnt3a受容体を発現するマウスES細胞株を用いてDNAマイクロアレイ解析やリアルタイム定量PCR解析を行い、シグナルの活性化に伴う細胞の遺伝子発現パターンの変化を解析した。その結果、キメラWnt3a受容体を介して活性化したシグナルに起因する遺伝子発現の変化は、内因性のWnt3aシグナルによる遺伝子発現の変化と非常に類似していることが確認された。キメラWnt3a受容体を用いることで、内因性のWnt3aシグナルを模倣できることが示唆された。 2) ES細胞を用いた心筋分化誘導過程におけるシグナル解析:キメラ受容体とそのシグナルのレポータープラスミドを共発現するES細胞株を、キメラ受容体に対するリガンドで刺激してin vitroで心筋細胞への分化誘導を行い、その過程におけるシグナルの活性化の状態をリアルタイムで測定した。キメラ受容体由来のシグナルと内因性のWnt3aシグナルを比較した結果、分化誘導過程におけるシグナルの活性化パターンはほぼ同様であり、心筋への分化も同様に促進されることが明らかになった。 3)キメラWnt11受容体の構築と機能解析:Wnt11に対するキメラ受容体を構築した。種々の組み合わせのキメラWnt11受容体をマウスES細胞へ発現させ、シグナル伝達能の解析を行ったが、心筋分化誘導を促進する効果は確認できなかった。今後は、用いるキメラ受容体と細胞の種類を再検討し、最適な実験条件を決定することで実験系を改善する予定である。
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