2013 Fiscal Year Research-status Report
乾燥ストレス耐性ペプチドを利用したタンパク質発現系の構築とその作用機構の解明
Project/Area Number |
25820405
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
池野 慎也 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 准教授 (20437792)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | タンパク質発現 / 大腸菌 / 共発現 / LEAペプチド |
Research Abstract |
本研究の目的は、組換えタンパク質の効率的な生産方法について、独自に開発したタンパク質の高効率発現系を開発・発展させることである。目的タンパク質を大腸菌に発現させる時に、乾燥ストレス耐性タンパク質をベースに設計したペプチド(LEAペプチド)を共発現させると、目的タンパク質の発現量が倍増することを研究代表者はこれまでに見出した。本手法は、目的タンパク質を高効率に発現させる手法として他にはない独特な技術である。本発現システムの実用化を念頭に、本年度は発現量が増大する新規ペプチドの探索をおこなった。 これまでの研究で、タンパク質発現量増大の効果が得られたLEAペプチド(AKDGTKEKAGE配列)は、その発現効率の増大が最大で2倍であった。実用化を図るうえで、発現効率の増大をこれまで以上にもたらす新規ペプチドを探索する必要性がある。LEAタンパク質は、規則性をもつ11アミノ酸が繰り返し存在する特徴的な親水性タンパク質である。その配列の特徴として一般的に、1,5,9番目に疎水基、3,7,11番目に負電荷基、6,8番目に正電荷基をもつアミノ酸を有する。これまでに設計・使用してきたLEAペプチドは5番目の配列が親水性であったため、疎水性を有するアミノ酸(ロイシン)に置換した新規LEAペプチドを設計し、目的のタンパク質と共発現させた。その結果、これまで得られていた発現量よりもさらにその発現量が増強された。 また、とくに規則性が求められていない4番目と10番目のアミノ酸配列に着目し、そこに変異を入れたペプチドライブラリーの設計を行い、それらを発現する共発現ライブラリーの構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、以下の3つの項目を解決すべき問題として取り上げ、それを研究の目的として、推進している。 1. 実用化を推進するためのペプチド配列の至適化 2. 他の宿主を用いた発現系への応用展開 3. LEAペプチドの細胞内での作用機序の解明 初年度は、LEAペプチドの配列ルールに則った機能性ペプチドライブラリーを作成し、その中からタンパク質発現効率増大を示す機能性ペプチド配列を探索することである。始めに、5番目のアミノ酸を疎水性アミノ酸に置換するペプチドを設計し、それを共発現させることで、タンパク質の発現効率が5-10%これまでのLEAペプチドよりも向上した。さらなる向上を求めて、現在は、配列に規則性が求められていない4および10番目のアミノ酸に注目し、そこを他のアミノ酸に置換したペプチドライブラリーを構築し、スクリーニングを行っている最中である。順調に進めば、申請書に記載したとおりH26年度前半までにスクリーニングを終える予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、構築したペプチドライブラリーを用いて、目的タンパク質との共発現により発現量を増大させる新規ペプチドをスクリーニングしていく。得られたペプチド配列を分子シミュレーションソフトウェアを用いて、その構造およびタンパク質への結合予測を行う。得られたペプチドの構造パターンから、タンパク質への吸着部位および分散を促進する部位を見出し、本ペプチドによる発現量増大効果のメカニズム解明への足がかりとする また、本システムの汎用性およびメカニズムの解明もスクリーニングが終了次第、行っていく。抗体・酵素等のほ乳類由来の機能性タンパク質は、糖鎖修飾などの翻訳後修飾が必要であり、それらの工業的大量生産には大腸菌等の原核細胞を用いた発現系ではなく、一般的に真核細胞の発現系が多く用いられる。酵母によるタンパク質発現システムは、工業用酵素の生産で利用例が多く、適切な折りたたみ構造および糖修飾を要するタンパク質の生産に広く利用されている。当共発現システムを酵母細胞発現系へ応用し、その汎用性を確証する。 本ペプチドがタンパク質発現増大をもたらすメカニズムの解明について、大腸菌の発現システムを利用した無細胞タンパク質発現系を用いて検討をおこなう。その発現系に人工的に合成したLEAペプチドを添加することにより、目的タンパク質の発現量増大を検討する。目的タンパク質の発現量を測るのと同時に、試験管内で発現したタンパク質の凝集状態を動的光散乱法により測定を行うことで、LEAペプチドの凝集抑制作用を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究開始当初に予定していた実験装置の購入が他の予算で支弁することになったため、その装置の予算額相当が次年度への繰り越しとなった。 H26年度は他の宿主の培養等、培養装置を多用する可能性があるため、培養装置購入へ使用する予定である。
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Research Products
(5 results)