2013 Fiscal Year Research-status Report
膜面の変形を考慮したソーラーセイルの姿勢・軌道の高精度誘導手法に関する研究
Project/Area Number |
25820408
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
船瀬 龍 東京大学, 工学系研究科, 准教授 (70509819)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ソーラーセイル / 可変反射率デバイス / 燃料フリー制御 / モデル同定 / 姿勢制御 |
Research Abstract |
本研究は, (1)ソーラーセイルの姿勢軌道運動モデルの高精度化とそれに対応した軌道上でのモデル推定手法の導出,(2)モデル誤差に対してロバストな誘導制御手法の導出,の2つ方向のアプローチにより,実用ミッションで要求される高精度なソーラーセイルの姿勢・軌道誘導手法を確立することが目的である. 平成25年度は,主に(1)に関する研究を進めた.まず,これまで研究してきた可変反射率デバイスによるソーラーセイルの燃料フリー姿勢制御システムについて,セイルの運動モデルへの影響の大きいセイルの変形と,可変反射率デバイスによってセイル膜面の光学特性を時間的に変更できることを組み込んだソーラーセイルの姿勢運動モデルを解析的に導出することに成功した.次に,2010年度にJAXAが打ち上げ・軌道上運用に成功した小型ソーラー電力セイル実証機IKAROSの軌道上データに対して,本モデルを用いた姿勢・軌道運動推定を行うことにより,推定精度が向上することを数値シミュレーションにより示すことに成功した.本モデルは,従来より研究してきたセイルの変形のみを考慮にいれたスピン型ソーラーセイルの姿勢運動モデル(GSSM: Generalized Spinning Sail Model)を拡張・包含するものであり,以上の成果により,可変反射率デバイスを用いた燃料フリー制御をより実用化するにあたってのソーラーセイルの姿勢軌道誘導検討の前提となる基本方程式を構築することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
可変反射率デバイスを用いた燃料フリー制御システムにおける,時間変化する光学パラメータの解析的な扱いについて,今年度内に目処を立てることができた.次年度以降,鏡面反射・拡散反射等の光学特性をより現実に近いモデルにアップデートした姿勢運動モデル・軌道上モデル同定手法の導出に取り組む予定である.今年度はその事前検討まで実施できており,当初の研究計画通りに進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降,鏡面反射・拡散反射等の光学特性をより現実に近いモデルにアップデート(反射率の入射角依存性などを考慮)した姿勢運動モデルの導出,及び,そのモデルを前提とした軌道上でのシステム同定手法の導出に取り組む予定である.導出したモデルを用いた姿勢・軌道誘導則については,今年度中には完了しなかったものの,次年度以降のモデルのアップデートと合わせて,残り2年間の研究期間の中で実施していく計画である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
セイル膜面の詳細な光学特性を計測する装置を当該年度に新規導入する計画であったが,高額な装置であるため計測方法や装置仕様の検討を慎重に実施し,次年度以降に導入することとした.また,海外の連携研究者との直接の打ち合わせのための旅費を計上していたが,当該年度中は連携研究者が別の用件で来日する機会があったため,本研究費での旅費の支出が不要となった. 当該年度に新規導入する予定であった光学特性計測装置については,次年度から導入する計画である.また,海外の連携研究者との直接の打ち合わせや,海外学会参加等を通じた研究者コミュニティーへの成果発信は,当初計画においても重要と考えており,より積極的に実施していく方針である.
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Research Products
(1 results)