2013 Fiscal Year Research-status Report
衝撃波前方のプリカーサ電子が衝撃波背後の熱化学的非平衡過程に及ぼす影響の解明
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25820411
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山田 剛治 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90588831)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Shock wave / Precursor electrons / Electron temperature / Electron density / Triple-probe method / Photoionization / CR model / Argon plasma |
Research Abstract |
本年度は,アルゴンプラズマを対象として衝突輻射モデルの開発及び衝撃波前方のプリカーサ電子の生成メカニズムの解明を中心に研究を実施した.アルゴンプラズマ中で支配的な素過程のみを適用することで,従来の衝突輻射モデルを簡略化したモデルを開発した.開発した衝突輻射モデルを適用して,アルゴン表面波プラズマ中の電子温度を発光スペクトルから取得することに成功した.そしてダブルプローブ法により取得した結果と比較したところ非常に良い一致を示した. アルゴン衝撃波前方で生成されるプリカーサ電子の生成過程を解明するために,トリプルプローブ計測,発光分光計測及び一次元光電離モデルによる理論解析を実施した.トリプルプローブ計測より,電子温度と電子密度の空間分布特性が取得でき,衝撃波前方領域において多数のプリカーサ電子が存在することが明らかになった.またプリカーサ電子は光電離反応(Ar + hv -> Ar+ + e)によりアルゴン原子から生成されると仮定して理論解析を実施した.その結果理論解析から取得した電子温度と電子密度は実験結果と定性的によい一致を示した.さらにアルゴンイオン(358nm)を対象として衝撃波前方領域における発光分光計測を実施した.その結果衝撃波前方100mm程度からアルゴンイオンの発光が取得できた.以上からアルゴン衝撃波前方におけるプリカーサ電子の生成メカニズムとしては光電離反応が有力であることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,衝撃波前方で生成されるプリカーサ電子が衝撃波背後の熱化学的非平衡過程に及ぼす影響を解明することで,大気圏突入飛行環境の予測精度向上を目指すものである. そこで本年度は,アルゴンを対象として衝撃波背後の電離過程を評価するための衝突輻射モデルの開発及び衝撃波前方のプリカーサ電子の生成メカニズム解明を行った.支配的な素過程に着目することで簡易衝突輻射モデルの開発に成功した.開発したモデルは来年度以降に実施する衝撃波背後の電離過程を解明するために有用である. またトリプルプローブ計測,発光分光計測及び1次元光電離モデルにより理論解析を実施してアルゴン衝撃波前方におけるプリカーサ電子の生成メカニズムが光電離反応であることが明らかになった.この結果は,衝撃波背後の熱化学的非平衡過程の予測モデルを高精度化するために重要である. 以上から,本年度得られた研究成果は研究目的を達成するために十分な進捗状況にあると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,波長の異なる2つのレーザーを用いて2波長マッハツェンダー干渉計を衝撃波管観測部に構築する.そして衝撃波を含む電離流れ場の電子温度と電子密度の空間分布特性を高精度に取得する.衝撃波管試験の計測時間は非常に短いために,計測システムの構築は困難であると予想される.そこで最初に,定常的なプラズマ源である表面波プラズマ装置を用いて2波長マッハツェンダー干渉計の計測システムを開発する. 次に多点分光計測システムを導入して,衝撃波背後の発光分光計測を実施して,本年度開発した簡易衝突輻射モデルにより電子温度と電子密度を導出する. 最終的に得られた知見を統合して,衝撃波背後の熱化学的非平衡モデルの高精度化を実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画していたイメージインテンシファイアシステムの納期が本年度中に間に合わないために、次年度に導入を変更したため。 次年度に導入を変更したイメージインテンシファイアを購入することを計画している。
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