2013 Fiscal Year Research-status Report
誘目性を考慮した海底物体の自動抽出およびリアルタイムモニタリングシステムの開発
Project/Area Number |
25820418
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 芳紀 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (90635210)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 半余弦関数ウェーブレットネットワーク / 自律型海中ロボット / 誘目性に基づく物体抽出 / 空間周波数解析 / ハードウェア実装 |
Research Abstract |
本研究では、自律型海中ロボット(Autonomous Underwater Vehicle, AUV)による海底画像観測において、海底の低速不安定な通信環境下においても、観測結果から誘目性に基づいて人間が興味を持つであろう物体を自動抽出し、さらに基地局でリアルタイムに再現可能なシステムを実現する。AUV中のメインコンピュータの負荷増加を抑えるため、本システムはAUVに追加可能なハードウェアモジュールとして作成し、既存のAUVおよび音響通信装置に寄生させて実装する。 平成25年度は、本システムの根幹となる半余弦関数ウェーブレットネットワークを用いた画像の空間周波数毎の分解、再構成ソフトウェアを作成した。作成したソフトウェアはハードウェアを作成する上でのシミュレータとして活用する。ソフトウェアシミュレーションを通し、作成するハードウェアの回路規模を見積るとともに、海底で注目に値する物体を精度よく抽出するための最適なパラメータ群について検討した。これらのパラメータは定量的に最適値を求める手法が確立されていないため、実際の海底サンプル画像が必要であった。そこで、申請者が所属する研究室が過去の実海域試験で取得した多量の画像データを利用するとともに、2013年6月に鹿児島湾ハオリムシサイト、2013年11月に静岡県内浦湾、2013年12月に沖縄トラフ伊良部海丘でそれぞれ実海域実験を行い、海底のサンプル画像を収集した。 実海域実験では、学術的に興味深いスポットの広域画像を欠損なく収集する必要があった。そこで、申請者らが提案している Path Replanning Method をAUVに実装し、複雑環境においても高被覆率な画像取得を実現した。Path Replanning Method の実装および得られた成果については、学会発表にて成果を発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施計画に従い、おおむね順調に目的を達成できている。具体的には、本システムの根幹をなす半余弦関数ウェーブレットネットワークによる画像の分解および再構成をソフトウェアプログラムによって実現した。作成したプログラムはハードウェア開発のためのシミュレータとして活用できる。シミュレーションに用いるデータとして、過去の実海域試験で得られた画像サンプルを使用した。さらに、平成25年度に鹿児島湾ハオリムシサイト、静岡県内浦湾、沖縄トラフ伊良部海丘でそれぞれ実海域実験を行い、数万枚におよぶ画像サンプルを新規に取得した。 ハードウェア設計のため、平成25年度末に任意のディジタルハードウェアを実装可能なFPGA(Field-Programmable Gate Array)ボードを購入する予定であったが、平成26年度4月に画像処理に特化したFPGAを選定するためのセミナーが開催されるとの情報があった。そこで、より目的に合致した製品を導入するためにFPGAボードの購入を翌年度に持ち越した。ただし、FPGA開発支援ツールはたとえ未購入のFPGAであっても、ターゲットデバイスとして任意の製品を選択し、配置配線をエミュレートする機能が標準で備えられているためFPGAボード購入の遅れは研究活動の進行上支障は生じない。
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Strategy for Future Research Activity |
ハードウェア設計を行うとともに、ハードウェアシミュレーションツールによって配線長や温度条件まで考慮した動作検証を行う。AUVに搭載するコンピュータなどは密閉された耐圧容器に密集して格納されるため、設計したハードウェアの発熱量までも考慮する必要がある。ハードウェア設計の上で困難が生じた場合には、既に開発済みのソフトウェアシミュレータの一部をホストとなるAUVのコンピュータに実装し、AUVのコンピュータとハードウェアとの協調動作で対応する。 シミュレーションや陸上での動作確認に問題がなければ、AUV実機に設計したハードウェアを追加し、実システムの動作試験を行う。ハードウェアの追加に伴い、ケーブルや治具の追加など既存のAUVの改造が必要となる。提案システムの一連の動作確認には、東京大学生産技術研究所が保有する水槽や近隣の浅海域を利用する。また、学術的に興味深い海域で実際に本システムを運用し、実海域での本システムの有効性について検証する。実海域での試験によって得られたデータを取りまとめ、成果の発表を行うとともにソフトウェアシミュレータへとフィードバックし、注目すべき物体をより精度よく抽出可能なシステムを実現する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
提案システムの実現には画像処理アルゴリズムのハードウェア実装が必要である。ハードウェア設計のため、平成25年度末に任意のディジタルハードウェアを実装可能なFPGA(Field-Programmable Gate Array)ボードを購入する予定であったが、平成26年度4月に画像処理に特化したFPGAを選定するためのセミナーが開催されるとの情報があった。そこで、より目的に合致した製品を導入するためにFPGAボードの購入を翌年度に持ち越した。このため、当初予定していたセミナー受講料およびセミナー会場までの往復旅費、FPGAボード購入費用の使用を次年度へ持ち越した。 平生26年4月17日に株式会社日本テクノセンターにて開催されるセミナー「画像処理アルゴリズムとFPGA選定」を受講する。セミナー受講後、ただちに提案システムの実装に最適なFPGAボードを選定、導入する。これらセミナーの受講料およびセミナー会場までの往復旅費、FPGAボード購入費用を次年度使用額と相殺する。
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