2013 Fiscal Year Research-status Report
カーボンニュートラルを目指した環境低負荷型-低品位石炭資源開発システムの確立
Project/Area Number |
25820431
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹岡 孝司 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20444862)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 低品位石炭資源 / 地山の力学的特性 / 採掘・充填システム / 採掘に伴う地山挙動 / 地表面沈下抑制 / カーボンニュートラル / 環境修復植栽種および植栽地盤 |
Research Abstract |
本研究では、地下に埋蔵量されている低品位石炭資源を、周辺環境への影響を最小限に抑制しつつ、安全・低コスト・高能率な採掘を可能にする資源開発システムの確立を目的として研究を実施した。 まず、採掘対象となる低品位石炭資源の現状を把握するため、インドネシアならびにタイの露天掘り石炭鉱山において現場調査ならびに岩石試料の採取・室内実験を行い、低品位炭層の賦存状況を把握するとともに、低品位炭層および周辺地山の各種力学的特性を把握した。 次に、低品位炭層の採掘に伴う周辺軟弱地山の挙動特性を把握し、地表面沈下の抑制が可能な最適な採掘設計指針を得るため、上記現場調査で得られた地層条件ならびに地山の各種力学的特性値を用いて3次元有限差分法解析プログラムFLAC3Dによる数値シミュレーションを実施した。その結果、採掘区画の寸法および深度の応じて適切な寸法の保安炭柱を採掘区画間に残すことで周辺地山の挙動を抑制出来ることが明らかになった。さらに、全体の寸法を小さくすることで同じ石炭回収率でも地山変形挙動をより効果的に抑制出来ることも明らかとなった。しかしながら、採掘跡が未充填の状態では大量の低品位石炭を保安鉱柱として残さなければならず、石炭実収率の向上を目的としてフライアッシュを主成分とする充填材の適用を検討した。その結果、地山程度の強度を有する充填材を採掘後直ちに採掘跡に充填することで、周辺地山挙動の効果的な抑制および石炭実収率の向上が可能であることが明らかとなった。 次に、カーボンニュートラルを目指した採掘跡地の環境修復工法の開発を目的として、まず植栽種としてヤトロファおよびカジノキに着目し、室内および露天掘り鉱山の採掘跡地において生育実験を行った。その結果、透水性、保水性、保肥性等の土壌特性について適切な土壌管理を行うことで、鉱山内で発生する廃土を用いても採掘跡地における生育の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に実施を予定していた(1)「低品位石炭資源の現地調査および各種力学的特性の把握」、(2)「ボアホールマイニング法による低品位石炭資源採掘システムの開発」項目内の2.3 低品位石炭層採掘に伴う周辺軟弱地山の挙動特性の把握および地表面沈下を目的とした採掘跡充填システムの設計指針を構築した。また、26年度に実施を予定していた(3)「カーボンニュートラルを目指した採掘跡地の環境修復工法の開発」項目内の3.1 植栽種の選定、3.2 適切な植栽地盤の検討、3.3 実験室および現場における植栽試験の実施およびその生育経過観察についても実施しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に引き続き平成26年度は以下の項目について検討を行う。 (2)ボアホールマイニング法による低品位石炭資源採掘システムの開発について 2.1 低品位炭層掘削メカニズムの解明および最適掘削パラメータに関する検討、 2.2 掘削した低品位炭の輸送システムに関する検討、2.3 その他採掘法の適用可否について検討を行う。 (3)カーボンニュートラルを目指した採掘跡地の環境修復方法について 3.3 平成25年度から実施中の実験室および現場における植栽試験の生育経過観察、3.4 モルタルセメントの流動性・固化強度・CO2ガス貯留能力の把握、3.5 カーボンニュートラルに関する評価・検討および設計指針について検討を行う。 最後に、得られた成果を基に、研究成果の取りまとめを行う。
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Research Products
(4 results)