2013 Fiscal Year Research-status Report
デジタルミリ波干渉計の開発と非軸対称プラズマの高精度密度分布計測方法の研究
Project/Area Number |
25820439
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
近木 祐一郎 福岡工業大学, 工学部, 准教授 (10398109)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 干渉計 / プラズマ密度分布計測 / GAMMA10 |
Research Abstract |
プラズマの電子密度分布を高精細に測定するべくデジタルミリ波干渉計を提案し原理実証実験を行ってきた。平成25年度は干渉計を、GAMMA10のセントラル部で実現できるように、準光学系の設計と製作および性能評価を主に進めた。 周波数分散性を持つINRDGアンテナ単体では、干渉測定用のプローブビームが広がってしまうため、ビームを配光するためにオフセットパラボラリフレクタを採用した。これにはCODE Vという光学設計ソフトを用いて光線追跡により設計を行った。焦点から放射されたプローブビームを、リフレクタによりプラズマの上半分を計測できるように平行光として配置する一方で、対向するもう1つのリフレクタにより、透過したプローブビームを受信用アンテナに集光できるよう設計した。 パラボラリフレクタを福岡工業大学工作センターにおいて製作した。レーザ光を用いたパラボラリフレクタの簡易性能評価では、若干レーザ光のスポットサイズが広がるものの、設計された通りに結像することが確認できた。次に、これら準光学系を用いた状態で、アンテナおよびベクトルネットワークアナライザも利用して、実験室における干渉計原理実証実験を行った。テフロン板をプラズマの代わりに利用して、リフレクタ間に配置されたテフロン板の形状測定を行った。その結果、プローブビームの周波数が変化するとプローブビームが透過する位置が変化することは透過波の位相および強度をネットワークアナライザで観測することで確認されたが、同時にビームのスポットサイズが比較的大きいため測定コードがオーバラップし空間分解能を悪化させていることも明らかとなった。現在、信号処理により干渉計イメージをよりシャープにできる方法を、様々な形状のテフロン板を用いて検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では1年目にGAMMA10に取り付ける予定であったが、まだ取り付けることはできていない。これは準光学系の製作自体に時間がかかったためである。準光学系のサイズは250 x 100 x 200 mmと大きめのサイズであり、これをアルミ削り出しで製作を行った。当初、福岡工業大学の工作センターでは3次元形状の金属加工はできなかったが、時間がある程度かかっても福岡工業大学で製作できるようになることを目指した。それは準光学系をGAMMA10用と福工大での実験用の2セットを製作したかったため外注すると加工費が非常にかかることと、今後の準光学系製作技術を福岡工業大学に保持をしておきたかったためである。平成25年度の2月頃に、性能が出るオフセットパラボラリフレクタが完成したため、干渉計の原理実証実験ができなかったこともありGAMMA10自体に設置することを延期した。
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Strategy for Future Research Activity |
実際のプラズマ実験に利用する配置で実験ができるようになったこともあり、トモグラフィーなどの信号処理方法の研究を進めることができるようになった。また平成26年度後半でのGAMMA10実験に適用できるように、H25年度にある程度は進めた導波管の真空導入フランジや、導波管の固定金具などの設計製作を進める。 実験室における信号処理方法の確立では、プローブビームが広がる問題の改善が課題となる。それには、現在のプロトタイプの干渉計の校正方法を確立することである。プローブビームの周波数と測定コードが完全に1対1に対応していなく、プローブビームの空間的な強度の分布と測定対象物の誘電率の空間的な分布により、透過波の位相は変わってしまうことが問題である。プローブビームのリフレクタ間での空間分布を昨年度購入した自動ステージを用いて測定し、様々な断面形状を持つ誘電体板で干渉計データを取得することで、得られる位相変化が想定されるものになるかを検証する。また様々な誘電体断面形状下での簡易の干渉計シミュレーションなど組み合わせ、最も断面形状を再構成できる信号処理方法を研究していく。 上記信号処理方法の本研究をGAMMA10での実験と同時並行して進めていくことができるように、INRDGアンテナ等をもう1セット製作および購入する。GAMMA10に干渉計を設置してデータの蓄積を行い、上述の信号処理方法を適用していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していたプラズマ実験を行う場合の旅費や、フランジなどの一部の物品製作費などが計上されなかったこともあり、若干使用金額の変更があったためである。ただ、購入物品自体は当初の計画通り概ね購入している。リフレクタの制作費などに関して、部材が時価なこともあり購入金額が変動するが、この点は科研費の基金化の恩恵を受けた。 当初の計画通り、GAMMA10で使用するアンテナや、マイクロ波素子、同軸部品、設置用金具などを購入する予定である。
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