2014 Fiscal Year Research-status Report
ヘリカル・直線型装置の非接触ダイバータ領域中における非拡散的プラズマ輸送研究
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25820440
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
田中 宏彦 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (60609981)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非接触プラズマ / 非拡散的輸送 / ヘリカル / 直線 / ダイバータ / Blob / 揺動 / 統計的解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では大型ヘリカル装置LHDおよび直線型装置NAGDIS-IIを使用して、非接触プラズマ周辺領域中に観測される非拡散的プラズマ輸送の物理や空間挙動の理解を進展させた。 LHDにおいては、共鳴摂動磁場(RMP)を印加して安定維持された非接触ダイバータプラズマに三芯の電極を備えた静電プローブを高速で掃引し、間欠的な密度構造を検出するとともに、同構造中の内部電場の存在を初めて確認した。条件付き平均法を適用することによって、ExBドリフト輸送速度および輸送方向サイズの評価を行った。また磁力線追跡計算から、同間欠的現象検出位置は磁気島X点付近を通る磁力線上にあることがわかった。磁気島X点近傍には放射強度の大きな領域が存在することが過去の研究から明らかとなっているため、電離フロント周辺における何らかの不安定性が間欠的輸送の発生に影響を与えている可能性が示唆された。 NAGDIS-IIでは軸方向・径方向粒子束の詳細計測を行うための新規計測器を設計するための予備実験として、真空ポンプのゲートバルブ開閉動作により直線プラズマの接触・非接触状態を遷移させ、遷移前後の装置終端板および軸方向中間位置のイオン飽和電流(≒イオン粒子束)を同時に高時間分解能計測した。結果として、終端板からプラズマが非接触化する際に特徴的な揺動の増大を観測するなど有用なデータを取得できたが、その解釈には周方向回転と径方向輸送の影響の分離が必要であることがわかった。そのため新規計測器としては周方向・径方向分割された電極を設置することが有効と考えられる。またEMC3-EIRENEコードを用いたシミュレーション研究においては、エネルギー体積源を任意の形状で設置できるようになり、磁力線方向にプラズマ源をもつ直線型装置特有の条件に近いシミュレーションを行えるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LHDにおける研究では、三芯プローブを用いた計測によりRMP印加非接触状態時に現れる間欠的輸送の駆動機構に内部電場が関わっており、周辺領域中の代表的な非拡散的輸送であるPlasma Blob輸送と共通する性質が明らかとなった。また磁力線追跡計算から磁気島との位置関係がわかるなど、現象を理解する上で特に重要な知見を複数得ることができた。 NAGDIS-IIでは平成26年度中の新規計測器製作を計画していたが、予備実験の結果から、当初の設計(環状プローブを軸方向に並べて設置)からコンセプトの大幅な変更が必要となった。周方向・径方向分割電極の設計と製作を早急に進め、平成27年度に実験適用を行う。シミュレーション研究は想定通りの進捗となった。 以上のことから、進展した計画もあるがNAGDIS-IIでの新規計測系準備が遅れていることから総合評価を③とした。
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Strategy for Future Research Activity |
NAGDIS-IIに設置する径方向・周方向分割電極の設計・製作を早急に進める。新設計は、装置終端板前面位置に挿入可能な周方向・径方向分割された電極とし、H27年度中に実機に適用する。リミタ(中間電極)内径外側の径方向分割電極の組み合わせから径方向輸送を捉えるとともに、周方向回転を周方向分割電極から同定する。接触・非接触状態の遷移時における粒子束ピーク、分布、揺動発生位置、伝搬等の変化や特徴を明らかにする。電極位置は簡易に変更可能な構造とし、実験結果を反映して適宜修正を行う。その後、実験条件(磁場強度、ガス圧等)に対する依存性を調査する。シミュレーションではガスパフおよびポンプの効果を組み込むことで、中性粒子に関しても実機に近い計算環境へと近づける。 LHDでは多地点ダイバータプローブのメンテナンス並びにパラメータ依存性調査を進めるとともに、これまでに得られた知見を論文としてまとめて成果を発表する。 また、新たな直線型装置として、筑波大学所有のタンデムミラー装置GAMMA10における非接触プラズマ中の揺動計測ならびに統計的解析を開始する予定である。NAGDIS-IIおよびLHDとの比較を行い、普遍性や相違性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
NAGDIS-IIに設置予定の新規計測器製作のための費用を見込んでいたが、予備実験の結果、設計コンセプトの大幅な変更が必要となり、製作が次年度に遅れたため繰り越しが必要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計測器の設計を早急に進め必要物品の手配を行う。主な物品として、金属材料(モリブデン、タンタル、またはタングステン)、セラミック材料、電流導入端子、絶縁被覆電線、フランジ類、電子部品を想定している。
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Research Products
(7 results)