2013 Fiscal Year Research-status Report
放射性廃棄物の大幅低減及び物質サイクル改善による核融合の社会受容性の向上
Project/Area Number |
25820445
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
染谷 洋二 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門 六ヶ所核融合研究所, 任期付研究員 (20589345)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射性廃棄物 |
Research Abstract |
核融合炉の社会受容性向上のために重要となる定期保守時に発生する放射性廃棄物の減容化のために、今年度は対象となる炉内機器(ブランケット及びダイバータ)の概念設計と共に放射化計算の手法を確立した。 ブランケットは、主要構造材に低放射化フェライト鋼(F82H)を使用し、トリチウム増殖材にチタン酸リチウム及び中性子増倍材にはベリリウムチタンを採用した。1次元核設計コードANISNを用いて、核発熱を評価し、各材料の許容温度を満たすように冷却系統を配置し、トリチウム増殖率を評価した結果、目標である1.05を満たす事が分かった。また、ダイバータは、冷却配管での中性子損傷に留意して、F82H冷却配管をタングステンモノブロック(W-mono)内に通す構造にした。次に設計した炉内機器を基に中性子スペクトルの放射化量の依存性を明らかにした。炉内機器に入射する中性子スペクトルを算出するために核融合出力が3.0 GWで主半径が5.8 mの核融合炉体型において3次元中性子輸送計算を実施した。計算の結果、ブランケットでの放射化量は1次元計算での中性子スペクトルを採用した場合と大きく変わらなかった。しかしながら、ダイバータ部での計算では、特にW-monoの崩壊熱において、3次元モデルでの中性子スペクトルを採用した場合、1次元での計算結果と比べて4倍程度値が大きくなる事が分かった。これは、タングステンにおける崩壊熱の主要反応が、熱・熱外領域の中性子エネルギーが支配的な186W(n,γ)187W等であり、3次元で評価したダイバータ領域での中性子スペクトルにはブランケット領域で後方散乱した低エネルギー側の成分が付加される点に起因している。この結果より、液体金属ブランケット概念では、ブランケットの後方散乱成分が少なくなる事から、プラズマ対抗壁であるWの崩壊熱量が抑えられる可能性がある事を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
核融合炉の放射性廃棄物を検討する上で炉内機器(ブランケット及びダイバータ)の定期保守時に発生する廃棄物が重要と考え、構築した固体型ブランケット概念の放射化量評価に集中し、昨年度の計画以上の成果を得た。その反面、液体型ブランケット概念の構築が遅れた為、本年度は液体型ブランケット概念設計を行うと共に放射化量を評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に行えなかった、液体金属ブランケットの概念設計とそれを基に放射化量の評価を行う。また、定期保守時に発生する放射性廃棄物に着目した為、線源であるプラズマから近い炉内機器(ブランケット及びダイバータ)での中性子スペクトル評価に留まったが、炉全体での真空容器や超伝導コイル等の放射化計算を実施するために3次元体型での大規模計算を実施し、得られた中性子スペクトルを基に炉全体での放射化量を評価する。最後に、得られた知見を基に放射性廃棄物の分類及び定量化を行うと共に各概念での総電気出力と総廃棄物量の比を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本科研費課題における成果を含む国際会議発表を行ったが、他の予算科目より旅費を支出できたため計画していた旅費を使用しなかった。また、昨年度は、定期保守時に発生する廃棄物に着目したため、炉全体を評価するような大規模計算には至らなかった。従って、予定していた計算機の購入は、今後のスペック向上も鑑みて25年度は行わなかった。 26年度では、昨年度に行えなかった液体型ブランケット概念の構築と炉全体(真空容器や超伝導コイル)での大規模な放射化計算を実施するため、昨年度に見送った計算機を購入する。また、研究成果の発表及び廃棄物管理の専門家との討論・情報交換のため、国際会議及び国内学会に参加する。
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