2013 Fiscal Year Research-status Report
風車タワーが風車後流及び風下側風車に与える影響の解明とそのモデル化に関する研究
Project/Area Number |
25820455
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
河野 孝昭 金沢大学, サステナブルエネルギー研究センター, 助教 (90630921)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 風車 / 後流 / 風力発電 / 流体 / CFD / 乱流 / 風荷重 |
Research Abstract |
本研究では、水平軸風車のタワーが風車後流特性及び風下側風車に与える影響を解明し、更にその影響を低解像度の計算格子で数値流体力学(CFD)シミュレーションに反映させるモデル化手法を開発して、近接した複数台の風車から構成されるウィンドファーム等の発電量予測ツールや各風車の風荷重評価ツールの高精度化に貢献することを目的としている。 2013年度は、1台の風車を対象に、風車ローターを円盤形状で近似したアクチュエータ・ディスク・モデルを用いて、タワーがある場合と無い場合について、様々な周速比の条件で、風車まわりの流れのCFDシミュレーションを実施した。さらに、風車後流の乱流強度の再現性を改善するために、風車のブレードを線形状で近似する、アクチュエータ・ライン・モデルの組み込みを行った。乱流モデルには、ラージ・エディ・シミュレーションの標準スマゴリンスキーモデルを用い、タワーがある場合の計算ケースでは、忠実にタワーの形状を再現して、固体壁として扱った。シミュレーションの妥当性については、風洞実験結果との比較により確認した。 その結果、風車タワーが風車後流の風速分布に与える影響は、周速比の増加とともに顕著となり、水平分布の非対称性が増加することが明らかになった。風車タワーに働く力については、各高さの抗力が、揚力に比べて非常に大きいこと、ローター高さ付近より上側で極端に小さくなり鉛直方向に大きく変化することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年間の研究の初年度にあたる2013年度は、(1)アクチュエータ・ライン・モデルの組み込み、(2)風車タワーの存在が風車後流特性に与える影響の解明、(3)風車タワーに働く流体力のデータベースの作成、を計画していた。(1)については、想定していたよりも時間がかかったが、2013年度中に組み込みを完了した。(2)については、アクチュエータ・ライン・モデルの組み込みが遅れたため、乱流特性の評価が十分に行えていないが、時間平均風速場の評価は計画通り進んでいる。(3)については、計画通りに進んでいる。以上より、現在までの達成度としては、おおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、風車タワーが風車後流の乱流特性に与える影響の分析についてアクチュエータ・ライン・モデルを用いてさらに進める。また、ブレードを陽的に解像したCFD解析も実施して、乱流特性の評価や、風車タワーに働く流体力の分析を行い、ブレードをモデル化した場合との比較を行う。その上で、当初の計画に基づき、(4)風車タワーの存在が風下側風車の出力特性・風荷重特性に与える影響の解明、(5)風車タワーのモデル化手法の開発、を進める。
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