2013 Fiscal Year Research-status Report
高密度化学蓄熱を目指した水酸化リチウム・メソポーラスシリカハイブリッド材料の開発
Project/Area Number |
25820456
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
窪田 光宏 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60345931)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水酸化リチウム / メソポーラスシリカ / ハイブリッド材料 / 水和反応速度 / 化学蓄熱 |
Research Abstract |
本研究は100 ℃以下の低温熱の徹底利用を実現する化学蓄熱・ヒートポンプの新規反応系と期待されるLiOH/LiOH・H2O系について、水蒸気吸着性能を有するメソポーラスシリカ(MPS)の細孔内にLiOHを担持したLiOH・MPSハイブリッド材料を開発し、実用上の課題であるLiOHと水蒸気の水和速度の大幅向上を目指している。 平成25年度は水酸化リチウム水溶液にメソポーラスシリカを含浸することにより、MPS細孔内へのLiOHの担持を試みた。具体的には0.1~10 wt%の濃度に調製したLiOH水溶液にMPSを種々の液固比で混合し、所定時間撹拌することにより含浸処理を行った。減圧ろ過により試料を回収した後、120 ℃で12 時間、減圧乾燥してLiOH・MPS材料を得た。このLiOH・MPS材料について、熱重量分析装置を用いて30 ℃、相対湿度60、80 %の条件で水和速度の測定を行った。また、所定時間水和させた後の吸熱量を示差走査熱量計により測定した。 この結果、LiOH水溶液濃度0.1~1.0 wt%で調製したLiOH・MPS材料は、LiOH、MPS単体に比べて水和開始後10分間における平均初期水和速度が増大するとともに、出熱密度に相当する10分水和時の吸熱量もLiOH、MPS単体よりも増大することを認めた。さらに調製条件をさまざま変化させた材料を作成し、平均初期水和速度および10分水和時の吸熱量を指標として評価を行った結果、LiOH水溶液濃度に関して最適な調製条件が存在することを明らかにした。以上、本年度はLiOH・MPSハイブリッド材料を調製し、調製材料の平均初期水和速度の向上を実証したが、これは化学蓄熱・ヒートポンプの出熱速度の向上に直結することから、実用上意義深い結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の目的であるLiOHと水蒸気の水和速度の大幅向上に対して、水酸化リチウムをリチウム源としてLiOH・MPSハイブリッド材料を調製することにより、調製材料の初期水和速度、吸熱量がいずれもLiOH、MPS単体に比べて向上することを実証できた。しかし、水酸化リチウム以外のリチウム源の検討および最適条件の決定には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで蓄積してきたハイブリッド材料の調製・評価技術を活用しながらリチウム源などの調製条件を広げ、さらにLiOHの担持率が向上した最適材料の調製条件を確立し、当初計画通り、最適材料のサイクル試験を実施する。これと並行して材料の蓄熱・出熱試験を実施する試験装置の試作を進め、最適材料の調製条件が確立した後、速やかに蓄熱・出熱試験に移行して研究を推進する。
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