2014 Fiscal Year Annual Research Report
全スケールフォノン散乱構造の構築によるナノ構造化シリコン高性能熱電材料の創製
Project/Area Number |
25820457
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大石 佑治 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20571558)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ナノSi / 熱電 / ボールミル / コンポジット |
Outline of Annual Research Achievements |
ジルコニア、窒化ケイ素、タングステンカーバイドの3種類のボールミル容器とボール用いてSiを粉砕し、XRD測定を行うことで不純物が混入しない条件を調べた。その結果、窒化ケイ素製治具を用いてボールミルを行い、その粉末をフッ化水素酸で洗浄することで、酸化物やボールミル用具からの不純物の混入のないSiナノ粒子を得られることが明らかとなった。得られたナノSi粉末をSPS法によって焼結し、バルクナノ結晶Siを作製した。TEM観察結果からも粒界に酸化物や混入物は確認されず、確かに不純物の混入のないバルクナノ結晶Siが作製できていた。粒径は50 nm程度であることが分かった。 上記のボールミル条件を用いて合金化散乱のためにSi母相へGeを20%加えたSiナノ粉末を作製し、NiSi2粉末と混合・焼結することでコンポジット化した。その熱電特性を測定したところ、Si-Ge合金の文献値よりも熱伝導率を低減させることができたが、電気伝導率も低減してしまい、熱電性能指数は文献値とほぼ同程度となった。 この理由を調べるために、まず単結晶Siを用いて熱電特性を測定し、さらに測定結果を再現できるボルツマン輸送方程式に基づいた計算モデルを構築することで、Siの基礎的な熱電特性を明らかにした。次に、バルクナノ結晶Siの熱電特性を測定して単結晶Siの計算モデルの結果と比較したところ、熱伝導率は予想通りナノ結晶化によって大幅に低減しており、ゼーベック係数もほぼ計算値通りであったが、電気伝導率は計算値よりも大幅に低減してしまっていた。この原因として、焼結体の密度が90%と低かったことから、ナノサイズの気孔が生じており、これが電子の移動を妨げていたと予想される。ナノ構造化による熱電特性の向上のためには、ナノサイズの気孔の生成を抑制して熱伝導率低減を防ぐことが重要であると考えられる。
|
Research Products
(3 results)