2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25830018
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
堀 沙耶香 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20470122)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光遺伝学 / ギャップ結合 / シナプス選択 / atonal / 逃避 / イネキシン / C. elegans / 感覚鈍麻 |
Outline of Annual Research Achievements |
シナプス結合の選択性を決める分子機序の解明は、脳の理解や医療を見据えた基礎研究として重要である。1シナプス単位では、全シナプス結合が既知の線虫C. elegansの感覚神経や運動神経を対象とする研究が先行しているが、単純な神経回路の線虫でさえ、中枢神経系(介在神経)で1つ1つのシナプス選択性を規定する分子機序の解明は不十分である。 そこで申請者は、線虫を対象に、動物の基本行動である逃避の回路形成機構の解明を目指してきた。これまでに、線虫の中枢神経系である神経環に発現する転写因子217種類をRNAi法により抑制し、逃避異常を示す18種類の候補を得てきた。中でも、lin-32(atonalホモログ)変異体について、強い逃避であるUターンの低下(感覚鈍麻)と、Uターン回路の中枢 (AIB神経)でのギャップ結合因子(イネキシン1)の発現の低下を見出した。 最終年度は、イネキシン1変異体もUターン異常をきたすこと、lin-32との二重変異体でも異常の強度が変わらないことを示し、逃避回路におけるギャップ結合の寄与の大きさを初めて明らかにした。さらに、既知の逃避回路の中で、AIBとギャップ結合を持つ神経は3種類(RIM、RIV、RIS)に絞られることから、まずはlin-32変異体のRIM運動神経の神経応答を解析した。しかし、顕著な異常は見られなかった。実際、RIM運動神経のギャップ結合因子(イネキシン4)の変異体はUターンが正常であることからも、AIB-RIM以外の神経回路であるAIB-RIS、AIB-RIV回路の重要性が示唆される。 哺乳動物での研究では、atoh1変異マウスの小脳と脊髄で発現変動する遺伝子群が報告されていたが、シナプス結合に直結する因子は未同定だった。本研究で逃避行動の強度を決める「プロトタイプ(原型)基盤」の新たな分子、神経機序が提唱できると期待される。
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Research Products
(3 results)