2013 Fiscal Year Research-status Report
パラノーダルジャンクションによる神経軸索機能調節機構の解明
Project/Area Number |
25830019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
石橋 智子 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (50453808)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミエリン / 軸索 / パラノーダルジャンクション / IP3R1 / 小脳 |
Research Abstract |
髄鞘(ミエリン)が軸索機能をどのように制御しているのか明らかにする目的で、特にミエリンと軸索が直接結合しパラノーダルaxo-glialジャンクション(PJ)を形成するパラノード部分が、軸索機能調節にどのように重要であるのか、焦点を絞り研究を行っている。PJは中枢神経系ではオリゴデンドロサイトが末梢神経系ではシュワン細胞の突起が直接軸索に接することにより、軸索表面の分子局在を変化させている。平成25年度はPJが形成されないマウスであるCST欠損マウスの小脳および座骨神経を用い、発達期つまりミエリン形成時期の変化を中心に研究を行った。 電子顕微鏡解析の結果、生後18日目CST欠損マウス小脳プルキンエ細胞軸索において、軸索内ニューロフィラメントや微小管の分布が不均一で偏りのあること、すでに軽度の軸索変性が認められることが分かった。また11日齢では小胞体の過剰層構造という興味深い所見が観察された。この所見はIP3R1が軸索局所で過剰に発現していることを示唆しており、すなわちPJ形成不全により局所の軸索内カルシウム濃度が高くなっている可能性が考えられる。一方、生後14日齢座骨神経ではランビエ絞輪部にミトコンドリア・小胞体が多く集まり、PJ形成が幼弱期から軸索機能調節に関与していることが示唆された。軸索パラノード部位PJは多数の膜タンパクおよび膜の裏打ちタンパク質が複合体を形成している場所である。幼弱期CST欠損マウス中枢および末梢神経に認められた極めて局所の変化は、PJ形成が、軸索骨格タンパク質、および軸索内小器官の正常な分布に関わっていることが強く示唆された。このようなPJの変化は、様々な病態下および加齢性変化で起こりうる可能性が高く、PJ形成と軸索変化を詳細に調べることは病態を理解する上でも意義があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パラノードを含むランビエ絞輪部軸索のみを濃縮し生化学的解析を行う実験計画は、タンパク量を十分に得ることが困難であり、その後のリン酸化タンパクを解析することが不可能であった。欠損マウスを用いているため、マウスの匹数がどうしても制限された。そのため実験方法を見直す必要があり、H25年度は電子顕微鏡による微細構造の解析を中心に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitroミエリン培養および小脳スライスを用い、髄鞘形成時における軸索内変化を詳細に観察することが課題である。髄鞘形成がどのように軸索のカルシウム濃度を調節しているのか、特に、PJ形成不全時におけるIP3R1の局所の集積がなぜ生じるのか解明することが課題である。H25年度は生化学的研究が困難であったため、電子顕微鏡解析を中心に行ったが、微細構造の解析も引き続き行う予定である。また軸索のIP3R1の分布とミエリン形成の関係を明らかにするために、免疫電顕を行う予定である。
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Research Products
(1 results)