2014 Fiscal Year Annual Research Report
仮想現実環境と二光子イメージング法を用いた海馬における物体と空間の記憶連関の研究
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25830023
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
水田 恒太郎 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (60632891)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トランスジェニックマウス / 二光子レーザー顕微鏡 / 可塑性 / 記憶・学習 / 場所細胞 / 報酬 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスの海馬において「空間」と「物体」という異なる情報が連関されるときの細胞集合体の活動を記録するため、壁と床に緑または青で示された3つの手がかりのある一次元の仮想現実直線路を作成し、マウスがその手掛かりの1つに報酬がある位置を記憶するときの海馬の神経活動を二光子イメージング実験によって観察した。マウスが報酬のある手掛かりの位置を学習したとき、その場所を認識する細胞があることがわかった。 本年度は、報酬場所を別の手掛かりのある場所へ移動させたときの神経活動を調べた。行動では、マウスは移動した報酬位置を再学習し止まることができた。報酬を認識していた細胞のうち、一部は新たな報酬場所を同様に認識し続けた。イメージングによって同定された全ての細胞を長期的に観察すると、報酬に反応する細胞は長期的に継続される一方、報酬とは関連しない場所に対応する細胞は数日の単位でターンオーバーした。ある物体(報酬)に関連付けられた重要な場所の選択的な記憶には、報酬場所を安定的にコードする細胞群が必要であると示唆される。 多くの細胞が一日でターンオーバーするので、場所細胞などを同定した後にin vivoパッチクランプ法によりそれらの細胞の神経活動を記録することは難しかった。そこで、多電極記録による局所細胞外電位とイメージングの同時記録系を確立させた。行動中のマウスの脳波を調べることで、報酬に反応する細胞集合体が発火するとき、他の脳領域からの入力情報などの詳細な研究への展開が期待される。
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