2014 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質の一分子力学計測によるプリオン伝播機構の解明
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25830025
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小見 悠介 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (20565999)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光ピンセット |
Outline of Annual Research Achievements |
光ピンセット法を用いた一分子力学計測を天然変性タンパク質Sup35NMを用いて行った。 前年度、野生型とはアミロイド性の異なるSup35NM S17R変異体が野生型とは異なるコンフォメーション構造をしており、一部分野生型とS17R変異体で共通の構造を取ることを明らかにしてきた。今回さらに、Sup35NM S17Rとは逆の電荷を持つSup35NM S17E変異体を作製し、光ピンセット法を用いて一分子力学計測を行った。その結果、S17E変異体はS17R変異体と比較し、より安定な構造をとることが判った。また、S17E変異体を1M塩化ナトリウム存在下で測定したところ、Sup35NM S17E変異体で見られた安定な構造が、S17Rと同様の弱いフォールディング構造をへと変化することが判った。この結果から、Sup35NMの構造の一部分(特に野生型とS17R変異体との共通の構造)は静電気的相互作用により、そのフォールディング構造を形成していると考えられる。 Sup35NMはNドメインにQ/Nリッチな構造を保持するが、Mドメインはリジン(K)やグルタミン酸(E)が多い。Mドメインの始まりの領域には K リッチな領域があり、この領域のどこかと17番目のアミノ酸が相互作用していると考え、S17R変異体をベースに、この領域にある K を E に変えた変異体を作製した。これらの変異体を酵母へ形質転換させ、そのアミロイド性を評価した。S17R EPEE変異体のアミロイド性はより野生型に近く、S17R EE変異体のアミロイド性はS17Rのそれと変わらなかった。このことより、Mドメイン開始の領域付近と17番目のアミノ酸が静電気的な相互作用により、フォールディング構造を取ることが判った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで判らなかった、天然変性タンパク質Sup35NMの構造の一部分を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、Sup35NMは今回明らかにした構造とは別の構造も持つことが判っており、この構造がどの部分からなるのかを明らかにし、Sup35NM全体の構造を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
実験がスムーズに進み、サンプル調整等の費用が軽減されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
別な変異体作製に使用する。
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