2014 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド前駆体タンパク質の細胞内輸送抑制によるアミロイドベータ産生阻害剤の探索
Project/Area Number |
25830041
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
浦野 泰臣 同志社大学, 生命医科学部, 助教 (00546674)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / 神経変性疾患 / クルクミン / 細胞内輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、アルツハイマー病発症に重要な役割を果たすアミロイドβ(Aβ)の産生を抑制出来るクルクミン誘導体の同定を目指し、スクリーニング及び評価を進めた。昨年度にクルクミンよりも効果的にAβ産生を抑制する誘導体として同定された誘導体Xについて、ヒト野生型APPを定常的に発現するCHO細胞株やヒト神経細胞株SH-SY5Y細胞を用いて評価を行った。CHO細胞を用いて誘導体Xで72時間処理を行ったところ、Aβ40およびAβ42の産生をそれぞれ約60%まで阻害した。またAβは前駆体であるアミロイド前駆体タンパク質(amyloid precursor protein、APP)からセクレターゼによる切断により産生されるが、誘導体Xで72時間処理した細胞では全長のAPPや他の切断産物であるsecreted APPが減少していることが確認された。神経細胞を用いた解析では、誘導体Xで24時間処理した細胞においてAβ産生の減少と共に、小胞体に存在するAPP量の増加が確認された。一方でセクレターゼ自身の酵素活性は抑制されていなかった。免疫沈降法を用いた解析から、小胞体シャペロンであるGRP78とAPPの結合の増加が確認された。以上の結果から、クルクミン誘導体Xは、小胞体で翻訳された新生APPがセクレターゼの存在するゴルジ体やエンドソームへの細胞内輸送を抑制したことにより、間接的にAβ産生を減少させたのではないかと考えられた。セクレターゼはAPP以外にも多くの基質をもつことからセクレターゼの直接的な活性阻害は副作用が起きてしまうが、誘導体Xはセクレターゼ活性に影響を与えずAβ産生を抑制出来ることから、AD治療薬として有効となることが期待される。
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