2014 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄小脳変性症1型モデルの投薬治療の試みと神経変性症の共通メカニズムの解明
Project/Area Number |
25830046
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
飯塚 朗 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (10466683)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脊髄小脳変性症1型 / 小脳 / プルキンエ細胞 / NMDA受容体 / メマンチン / 神経変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄小脳変性症1型(spinocerebellar ataxia type 1:SCA1)は、ポリグルタミン鎖が異常伸長したAtaxin1分子を原因とした小脳プルキンエ細胞の進行性変性死とそれに伴う運動失調を主症状とする。これまでの研究でプルキンエ細胞における特定分子の発現低下やataxin1の機能異常について多くの報告があるが、細胞変性の直接的なメカニズムはいまだよくわかっていない。近年、神経変性症の変性メカニズムにおいて病気の初期のシナプス病態が重要視されており、特にアルツハイマー病(ALZ)とハンチントン病(HTT)では、グルタミン酸によるシナプス伝達の際に、本来活性化しないシナプス外のNMDA受容体が活性化してしまうことにより細胞死が引き起こされている可能性が指摘されている。そこで、我々はシナプス外のNMDA受容体の活性化とSCA1における病態が関連しているのかを検証するため、SCA1モデルマウスにシナプス外NMDA受容体の阻害剤であるメマンチンを長期間投与し、その病態を観察した。SCA1の症状が出る前の4週齢からメマンチンを投与されたモデルマウスは、体重減少や小脳プルキンエ細胞、延髄の運動ニューロンの脱落などSCA1の病態が改善していた。また、短命なSCA1モデルマウスの寿命も20%以上伸びていた。このことは、メマンチンによってSCA1の病状進行が遅延され、またSCA1の病因の一端にALZかHTTと同じメカニズムを持っている可能性を示唆している。さらに、メマンチンはすでにALZの治療薬として使われていることから、SCA1に対しても治療薬として期待できることも明らかにした。
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Research Products
(3 results)