2013 Fiscal Year Research-status Report
光、磁場を利用したIn vivo遺伝子発現操作系の開発
Project/Area Number |
25830069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
伊達木 穣 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (00415879)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝子発現操作系 |
Research Abstract |
実験動物体内で遺伝子発現を操作する手法は多数存在するが、いずれも自由な発現操作をするには制限がある。一般に特異的プロモーター、エンハンサーにより予定した時期、組織に遺伝子発現変化を誘導する系、あるいは薬剤などにより発現変化を誘導する系等が用いられている。しかし実用される特異的プロモーター、エンハンサーは未だ限定的であり、薬剤誘導系に関しても薬剤送達効率や細胞種による応答性の違いがあり、必ずしも汎用性の高いものではない。本研究では光、および磁場に対して応答性を持つ転写因子Cryptochromeを材料に、青色光、もしくは近赤外光と磁場を用いて任意の時期、組織で誘導可能な遺伝子発現操作系の構築に取り組むものである。平成25年度はヒトCryptochrome2を材料に異種転写因子との融合タンパク質を作成し、光および磁場に応じて活性が変化する転写因子の作出を試みた。ヒトCryptochrome2の一部に変異を加えたものと既知の転写因子のDNA結合領域、および転写活性化領域を融合させ、光、磁場依存的な活性の変化を評価した。融合させたDNA結合領域に対応したプロモーターの下流に蛍光を発するレポーター遺伝子を配した発現ベクターと上記の融合転写因子の発現ベクターとを同時に培養細胞に導入し、青色光、および磁場曝露でレポーター遺伝子の発現に変化が生じるか検討を行った。その結果、青色光、および磁場の同時曝露でレポーター遺伝子の発現量が3~4割ほどまでに減少することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
達成度は計画より遅延している。当初、過去のショウジョウバエを用いた研究報告例を参考に磁場の曝露条件を5~10ガウスの範囲に設定していたが、この曝露条件ではレポーター遺伝子の発現量に有意な変化は見られず、磁場を強めて順次検討を重ねてきた。計画書に記載のコイルを用いた磁場暴露系は強い磁場を与えるには発熱が問題となり使用を断念した。コイルにかえてフェライト磁石を用いた磁場暴露を行っているが、レポーター遺伝子の発現変化は十分に大きなものではなく、平成25年度中にマウス培養組織を用いた実験や遺伝子改変動物の作出までには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
観察されたレポーター遺伝子の発現変化が真に融合転写因子の活性変化によるものか確認作業を行い、後に曝露条件の最適化を行う。磁場の曝露条件がレポーター発現量の変化に大きく影響すると考えられることから、より強い磁場への曝露を試みる。光曝露条件に関してはコントロール群との間に温度差が生じない範囲で最大の照度となるよう調整を試みる。以上の取り組みの後にマウス組織、個体への適用拡大に取り組む予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
培養細胞を用いた実験系において磁場曝露の条件検討に時間を要したことから予定していた組織培養実験、および動物実験に着手しなかった。このため当初予定していた予算額を使用しなかった。 遅延はあるものの26年度以降、推進方策に従い予定していた動物実験等に着手し予算を使用する予定である。
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