2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25830084
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武石 昭一郎 九州大学, 生体防御医学研究所, 研究員 (10647720)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | がん幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、がんの再発や転移の原因である「がん幹細胞」は静止期に留まることにより、従来のがん治療に抵抗性を示すことが明らかになった。最近申請者は、ユビキチンリガーゼFbxw7がc-Mycを分解して白血病幹細胞を静止期に維持していることを突き止め、さらにFbxw7の抑制と抗がん剤を併用することにより白血病幹細胞を根絶させ、治療後の再発を著明に減少させることに成功している [Takeishi et al., Cancer Cell (2013); Reavie et al., Cancer Cell (2013); Takeishi & Nakayama, Br. J. Cancer (2014)]。そこで今回申請者は、近年増加傾向にある乳がんに着目して、「Fbxw7は乳がん幹細胞の静止期維持にも重要なのではないか?」という仮説を提唱し、この仮説を実験的に証明し、乳がん根治療法を確立することを目指した。 上記の仮説を検証するために、まずマウス乳がん由来のE0771細胞をマウス皮下に接種し、乳がんマウスモデルを作製した。このレシピエントマウスは移植部位に乳がんを発症するとともに、肺に遠隔転移を認め、移植後4-5週で死亡した。次に、乳がん幹細胞におけるFbxw7の役割を明らかにするために、CRISPR/Cas系を用いてE0771細胞においてFbxw7のノックアウトを試みた。そして、Fbxw7が欠損し、かつFbxw7の基質であるc-Mycが蓄積しているラインを複数樹立することに成功した。現在、このラインを用いて、Fbxw7欠損乳がん幹細胞の静止期の割合、および抗がん剤への感受性の有無を検証している。また、ヒト乳がん幹細胞におけるFbxw7の機能解析を目指して、ヒト乳がん細胞においてもFbxw7のノックアウトを試みているところである。
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