2014 Fiscal Year Annual Research Report
癌幹細胞におけるCdk-Pin1経路の活性化機構の解明
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25830087
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
西 真由子 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (90635343)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / リン酸化 / 癌抑制遺伝子 / 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、癌幹細胞(CSC)の悪性化形質の発現や維持に重要な役割を果たすサイクリン依存性キナーゼ(Cdk)やその阻害因子群の機能解明を目的としている。当初、レトロウイルスベクターを用いてCdk-inhibitorp21Cip1の定常発現を試みたが、薬剤選択に時間がかかったため、植物由来天然化合物ライブラリーの中から、CSCにおいてp21Cip1の発現を誘導する薬剤をスクリーニングした。その結果Withaferin A(WA)がCSCにおいてp21Cip1の発現を誘導することがわかった。また、WAはCSCの細胞老化を誘導することで、CSCの悪性化形質および腫瘍形成能を阻害した。WA処理した細胞は細胞老化マーカーであるSenescence-associated beta-galactosidase(SABG)およびリン酸化ヒストンH2A.X陽性を示したが、DNA損傷は見られなかった。WA添加細胞では、12時間後にサイクリンBの一過性上昇の後にその発現が急激に消失し、p21の発現は12時間後から徐々に増加した。一方で、pErk1/2およびpS6の高発現は継続しており、サイクリンD1の発現は48時間後に一過性増加が認められた。この現象は、細胞周期停止と細胞増殖シグナルが同時に活性化される逆説的な状況であり、これが原因でGeroconversionにより細胞老化が引き起こされたことが示唆された。また、Cdkの標的となるリン酸化タンパク質を同定するため、機能的リン酸化タンパク質に結合することが知られているPin1を分子プローブに用いたリン酸化プロテオーム解析を試みた。Pin1と特異的に結合するタンパク質を抽出後、質量分析計によってタンパク質を同定した。現在、取得したタンパク質およびそれらのリン酸化部位について精査中である。
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Research Products
(3 results)