2014 Fiscal Year Annual Research Report
頭蓋内胚細胞腫瘍におけるDNAメチル化の全ゲノム的探索
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25830093
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
福島 慎太郎 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, リサーチレジデント (30529459)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 頭蓋内胚細胞腫 / メチル化 / 始原生殖細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は頭蓋内胚細胞腫の病態解明を目指して全ゲノム的遺伝子解析の多施設共同研究を展開している。今回頭蓋内胚細胞腫におけるエピゲノムの役割解明を目的とし、ゲノムワイドメチル化解析を行った。精巣由来を含む胚細胞腫組織61検体(ジャーミノーマ22例、混合型19例、奇形腫10例、胎児性癌1例、卵黄嚢腫瘍5例、絨毛癌1例、セミノーマ3例) を対象とした。いずれも凍結検体から抽出されたDNAを使用し、Illumina社製HumanMethylation450 BeadChipを用いてゲノムワイドなメチル化解析を行った。そのデータを基に、高標準偏差を示す約28,000プローブを選択しクラスター解析を行った。ジャーミノーマは非ジャーミノーマ性胚細胞腫と比べゲノム全体にメチル化状態が低く、2群間には有意差がみられた。胚細胞腫全体では全般的な低メチル化状態を呈する群(LM)、一部低メチル化状態を呈する群(PLM)、全般的な高メチル化状態を呈する群(HM)の3亜型に分類された。ジャーミノーマおよびセミノーマはLMまたはPLM群に、非ジャーミノーマ性胚細胞腫および正常組織はHM群にそれぞれ分類される傾向がみられた。ジャーミノーマは他の胚細胞腫に比べ広範な低メチル化により特徴づけられ、始原生殖細胞起源である可能性が示唆された。頭蓋内胚細胞腫において個々のメチル化パターンの比較を行うことは、有用な分子診断マーカーとなりうる可能性があると考えられる。また混合型胚細胞腫の解析からジャーミノーマ成分と非ジャーミノーマ成分ではメチル化プロファイルは異なるが、遺伝子変異プロファイルは同じであることがわかった。このことから遺伝子変異は腫瘍発生の過程において、メチル化よりも先に起こるイベントであることが示唆された。
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