2013 Fiscal Year Research-status Report
子宮頚部腺癌のin vitro多段階発がんモデルの構築
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25830095
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
木川 聖美 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, リサーチレジデント (30547625)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 子宮頸がん / 扁平円柱上皮境界 / SCJ細胞 / 発がんモデル / 多段階発がん |
Research Abstract |
本研究は、子宮頸癌の発生母地と考えられる母細胞候補を分離・培養し、異なる細胞集団を用いて、in vitroの多段階発がんモデルの構築し、扁平上皮癌に比して高い悪性度をもつ腺癌の発がんに関与する母細胞の同定と分子生物学的発症機構を解明することを目指している。現在は、子宮頸がんの発生母地と考えられているSCJ領域より母細胞候補の分離・培養法を確立する作業を進めている。 1. 臨床検体を用いて、SCJ領域から頭側に存在する単層円柱上皮細胞、SCJからendocervixにかけて存在するSCJ細胞、及び足側に存在する扁平上皮細胞の分離をその解剖学的位置を指標に試みた。初代培養で出現したコロニーを形態学的所見をもとに区別した。 2. 各コロニーをクローニングし、Feeder細胞上でROCK阻害剤を添加した培養条件を主として用いて、他の複数の培養条件と比較検討した。それらの細胞はTERT遺伝子の導入などにより不死化して培養を継続している。 3. 各クローンあるいはプールした細胞集団を免疫染色によってその性状を調べた。具体的に、SCJ細胞の特異的マーカーとされる、CD63、CK7, AGR2ならびに, 扁平上皮細胞のマーカーであるp63, CK14などの発現を免疫染色により調べた。今後は、SCJ細胞と思われる細胞の正常解析と共に、がん遺伝子の導入による扁平上皮がんならびに腺がんの樹立を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
臨床検体を用いて、SCJ周囲の上皮細胞から、解剖学的位置を指標に扁平上皮細胞、円柱上皮細胞、及び境界部分細胞を分離し、さらに、細胞の性状、形態を指標に数種類に細分化した。それらをそれぞれ様々な条件で培養し、その相違を比較し、発現マーカーを用いてSCJ細胞の性質を持つ目的の細胞群の同定、分離を試みている。SCJ細胞の性状に近いクローンの分離には成功しているが、p63が弱陽性であるなどin vivoにおけるSCJ細胞とは一部の性状が異なる。そのため、p63陽性の扁平上皮がんの樹立は比較的容易にできると考えられるが、p63陰性の腺がんを樹立の見通しは立っていない。培養条件の至適化などによりin vivoにおけるSCJ細胞の性状を再現をさらに試みる。また、新たな検体よりFACS sortingにより目的とする細胞集団を分離した後、培養を試みる。これらの作業によって子宮頸部上皮細胞の母細胞とされるSCJ細胞を確実に分離することが、今後の研究の基盤であるため、慎重に実験を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
1. HPV16型E6E7、HPV18型E6E7から形成される発がんモデルの作製 これまでに得られた扁平上皮細胞(S細胞)、円柱上皮細胞(C細胞)、SCJ細胞様細胞の不死化細胞株を用いて、3次元培養法により、正常に近い扁平上皮や腺上皮が形成されるかどうかを確認する。また、 HPV16型またはHPV18型のE6,E7,活性型RAS, c-MYCの4因子を導入してがん細胞化し、⊿Np63を始め、各種細胞のマーカーの発現を確認すると共に、免疫不全マウス皮下移植により形成される腫瘍の病理組織像の相違について解析する。 2. 腺癌のin vitro多段階発がんモデルの構築 1.で腺癌の形成がみられた場合は、3次元培養において、正常組織を形成させた後に、がん遺伝子を異なる組み合わせや段階的に発現させることにより多段階発がんの過程の再現を試みる。がん遺伝子の発現は、tetOffシステムによる発現誘導や、エストロゲン受容体リガンド結合ドメイン(ER-LBD)との融合タンパクによるタンパク活性化システムを組み合わせ、Doxやタモキシフェン(4OHT)により導入するがん遺伝子の発現を個々に制御できるシステムを構築して用いる。これにより、扁平上皮癌と母細胞や分子生物学的発症機構の相違を解明することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画よりも実験作業の進行が遅れたため。 繰り越し分は平成26年度前半期に使用予定である。
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