2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25830103
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
原田 拓 宮崎大学, 医学部, 助教 (60468030)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大腸鋸歯状病変 / 分子診断 / 腫瘍洗浄液 / 腸管洗浄液 |
Research Abstract |
大腸鋸歯状病変の腫瘍洗浄液を用いた分子診断法の開発を目的として、研究計画申請時に既に有していた、内視鏡下に採取した大腸鋸歯状病変(Sessile serrated adenoma/polyp (SSA/P))を含めた腫瘍生検組織・腫瘍洗浄液を用いて、複数の候補遺伝子における異常メチル化をPyrosequence法にて測定した。生検組織を用いた解析ではSSA/Pに特異的にメチル化が生じるとされているCIMPマーカーのメチル化を測定することで、高精度にSSA/Pの分子診断が可能であったが、腫瘍洗浄液では腫瘍由来のDNAが検体中に十分採取できておらず、測定は困難であった。腫瘍洗浄液でもメチル化解析が可能となるよう、検体採取方法、メチル化解析の手法や候補遺伝子の再検討を現在行っている。 また、腫瘍洗浄液の検討では大腸癌病変では腫瘍由来のDNAの採取が腫瘍洗浄液でも可能であり、非癌病変(腺腫や鋸歯状病変)の腫瘍洗浄液では検出不能な生検組織で確認できる異常メチル化の検出が可能であった。これに加えて、大腸内視鏡検査開始時に直腸で回収した腸管洗浄液でも、多くの大腸癌で異常メチル化されている遺伝子のメチル化検出が可能であった。この事象から、直腸で回収される腸管洗浄液を用いたメチル化解析は大腸癌の新たな存在診断法として有用である可能性を考えた。現在までに有している、腸管洗浄液約500検体(大腸癌50検体を含む)を用いて、現在、診断に有用なマーカー遺伝子の同定や検出方法の検討も大腸鋸歯状病変の腫瘍洗浄液による分子診断法の開発と並行して行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画時に考えていたよりもSSA/Pの腫瘍洗浄液からの腫瘍細胞由来のDNA採取が容易ではなく、メチル化解析の検討が十分に行えていない。また、研究開始後に新たな腫瘍洗浄液の採取が十分な検体数で行えておらず、検体採取方法やメチル化解析方法の十分な再検討が行えていない。 一方で、新たに発見された事象である直腸で回収される腫瘍洗浄液を用いたメチル化解析での大腸癌検出法の検討に関しては、良好な成績が得られており、さらに分子マーカー等の検討を行うことで検査精度の向上が期待できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸鋸歯状病変の腫瘍洗浄液による分子診断法の開発は、検体採取方法等から再検討する必要があり、今後前向きに新たな洗浄液検体を多数収集し、再度メチル化解析可能なDNA採取が可能かどうかの評価から行っていく必要がある。 腸管洗浄液を用いた大腸癌の存在診断法の開発は、既存の検体数も十分収集できており、遺伝子解析を中心とした具体的な分子診断方法の検討を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定した検体数の収集ができておらず、メチル化を中心とした遺伝子解析(メチローム解析等)による検討がまだ未施行であるため。 今後、遺伝子解析が可能な十分な検体数を収集後に網羅的なメチル化解析等を行っていく。
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