2014 Fiscal Year Research-status Report
骨髄微小環境における骨髄腫細胞と単球及び間葉系細胞との相互作用の解析
Project/Area Number |
25830120
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
池田 博 札幌医科大学, 道民医療推進学講座, 助教 (60570132)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,血液腫瘍に対する化学療法や分子標的療法の進歩により,白血病や悪性リンパ腫症例の一部に長期生存が得られるようになってきている.多発性骨髄腫においても同様で、新規治療薬が導入されることが患者の利益となることには違いない。本研究により,骨髄微小環境における骨髄ストローマ細胞や単球との多発性骨髄腫細胞との相互分化増殖作用の分子機序が明らかになり,新たな治療標的が見つかる可能性を秘めている。 樹状細胞も多発性骨髄腫患者の骨髄微小環境に対しても影響があると考えられる.抗原提示細胞として機能する樹状細胞の異常については,免疫系機能低下を示し感染症の一因を特定できることが予想される。これらの研究は、日本で行われている施設はなく国際的にも非常に独創的な研究である。その成果は耐性化しやすい骨髄腫患者の病態解析や抗がん剤耐性化の機序解明に大きく貢献できることが予想される。さらに骨髄微小環境の解析は,多発性骨髄腫の骨病変に対する治療や病態解明につながることが予想される。またその成果によっては,多発性骨髄腫のみではなく他の血液がんや乳がんなどの骨転移を起こしやすい疾患の病態解明につながることが考えられ,当研究が見出す効果はがん領域全体に対する治療戦略に大きなインパクトを及ぼすことが期待される。骨髄腫において現在さまざまな病期,浸潤性の多発性骨髄腫患者由来骨髄ストローマ細胞を使用し,骨髄腫細胞株も薬剤感受性の異なる株を解析することで,予後,薬剤耐性に直接関連するシグナル伝達系,遺伝子発現異常の同定を試みている。さらに活性の見られたシグナル伝達系を阻害した際の骨髄微小環境における骨髄腫細胞への影響を分析してシグナル解析を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
具体的な骨髄ストローマ細胞や単球と骨髄腫細胞との相互増殖作用を抑制する新規治療薬の検討を行っているが相互作用の機序で不明な部分もあるため現在使用されているもしくは、今後注目されていくであろう骨髄腫治療薬・ボルテゾミブ, レナリドマイド,サリドマイド,HDAC阻害剤 HSP90阻害剤 での治療により相互増殖作用やシグナル伝達系がどのように変化するかを検討している段階である。ターゲットを絞り切るところまで行っていない。 またSCIDマウスに骨髄腫細胞株を皮下注射し担癌モデルを作成し、抗腫瘍効果を解析する。新規治療薬によってどの新規治療薬がシグナル伝達系にまた単球との共培養下において上昇しているサイトカインについては、治療前後におけるサイトカインの分泌量の変化をELISAを用いて解析していく予定であるが、マウスの実験については今年度から開始する予定である。シグナル伝達系の変化についても新規治療薬の効果と治療薬の標的分子をあわせて検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
骨髄微小環境にある骨髄腫細胞株においてもこれらの新規薬剤が有効であるということを見いだした実績があり骨髄腫細胞の骨髄微小環境下での効果的な治療薬の開発につなげられるように研究推進していく。また我々のこれまでの実験系において,骨髄ストローマ細胞と骨髄腫細胞の相互作用に,単球,樹状細胞が大きく関わっていることを見いだしているので単球だけでなく樹状細胞の働きやシグナル伝達に対する影響などを研究していく方針である。
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Causes of Carryover |
使用金額については、概ね予想通りである。 次年度使用額についてもELISAや抗体などの研究資源に使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新規治療薬によってどの新規治療薬がシグナル伝達系にまた単球との共培養下において上昇しているサイトカインについては、治療前後におけるサイトカインの分泌量の変化をELISAを用いて解析していくのでそれに対するサイトカインアッセイの研究に使用予定である。
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