2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒト癌薬剤耐性コロニーのタンパク質発現プロファイルによる癌再発機構に関する研究
Project/Area Number |
25830121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
久米 浩平 岩手医科大学, 医学部, 研究員 (10609663)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬剤寛容性細胞集団 / コロニー形成 / シスプラチン |
Research Abstract |
当該年度の進捗は以下の3点に要約された。 ①シスプラチン存在下に形成されたコロニーにおいて発現上昇した遺伝子群のうち上位6遺伝子について、それらのsiRNAノックダウンがコロニー形成を抑制し得るか確認した。予備実験ではRNAポリメラーゼII開始複合体の構成因子をコードする遺伝子のノックダウンがコロニー形成を約50%抑制し得た。 ②シスプラチン存在下/非存在下のコロニーをランダムに10個採取し、c-Myc、Oct4、Sox2、Nanog、Glis1の転写産物量を比較した。シスプラチン存在下のコロニー集団では、非存在下のコロニー集団に比べてc-Myc、Oct4、Nanogが有意に発現上昇していた。一方、個々のコロニーに着目すると、どの遺伝子もシスプラチン存在下と非存在下の間で発現レンジが重なっていた。 ③シスプラチン存在下/非存在下のコロニーをランダムに6個採取し、マウス皮下での腫瘍形成を観察した。シスプラチン処理の有無に関わらず、どちらも腫瘍を形成するコロニーと形成しないコロニーの両方が存在した。腫瘍形成率はどちらも33%(2/6)であった。 以上からシスプラチン存在下でのコロニー形成に少なくとも1つの遺伝子が関与する事が示唆された。また、シスプラチン寛容性の表現型にc-Myc、Oct4、Nanogの関与が示唆されたが、シスプラチン存在下と非存在下の間で発現レベルに明らかな差が無かったことから、これらの遺伝子は決定的な薬剤寛容性関連因子ではないと考えられた。シスプラチン処理の有無に関わらず個々のコロニーの腫瘍形成能にはばらつきが存在する事から、薬剤寛容性と腫瘍形成能は異なる細胞機能であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
少なくとも1つの目的遺伝子を同定し得たため。
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Strategy for Future Research Activity |
癌細胞の薬剤寛容性に関与する遺伝子を少なくとも1つ同定したが、1つの遺伝子で薬剤寛容性を説明するのは困難であり、治療への応用を目指すには別のアプローチが必要である。そこで、薬剤寛容性細胞集団の出現を抑制するリード化合物の同定を着地点とした研究を展開する。予備実験から、転写阻害剤が薬剤寛容性細胞集団の出現を選択的に抑制する事を見出したので、26年度はこれらの併用投与による動物モデルの治療効果を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前倒し支払い請求額に余裕を持たせたため。 当該年度は支払い請求額が予想使用額を上回ったため、前倒し支払い請求を行わなければならなかった。そこで、今年度は前年度よりも使用ペースを抑えたいと考えている。
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Research Products
(7 results)