2013 Fiscal Year Research-status Report
理論・実験の併用でさぐるアクチンの細胞内自己組織化
Project/Area Number |
25830147
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤田 征志 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 特別研究員 (80564749)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | アクチン細胞骨格 / 細胞内局在 / Rho / RhoGAP / 線虫 |
Research Abstract |
アクチン細胞骨格は、ガン細胞の仮足や、分裂時に姉妹細胞をくびる収縮環にみられるように、細胞が力を発生させる際の主要な細胞内構造である。そのアクチン細胞骨格の細胞内局在がどのようにして決定されるかは、細胞生物学における重要な課題である。Fアクチンの局在を決定する上で中心的役割を果たすタンパク質がRhoファミリーGTPaseであり、それらはRhoGAPタンパク質により抑制される。線虫C. elegans1細胞胚の極性形成期には、収縮性のFアクチンが細胞表層に形成され、この過程が低分子GTPアーゼRHO-1により促進され、RhoGAPタンパク質RGA-3/4により抑制されることが知られている。本研究の目的は、この線虫1細胞胚におけるアクチン細胞骨格について、その局在がどのように自己組織化的に出現するかを解明することである。 当該年度の研究成果は、RGA-3/4の細胞内局在が、Fアクチンの局在パターンに大きな影響を与えることを発見したことである。RGA-3/4のC末領域を欠失させた組換えタンパク質は、内因性のRGA-3/4とは異なる細胞内局在を示した。この遺伝子組換え線虫株におけるFアクチン及びミオシン軽鎖の観察を行った結果、野生型とは大きく異なる局在をしていることを観察した。これらの変化の原因は、GAP活性の増減やC末領域の生化学的活性では説明できなかった。これらの結果から、RhoGAPの細胞内局在がFアクチンの自己組織化に大きな影響を与えることが示唆される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アクチン細胞骨格の細胞内局在を制御する因子として、RGA-3/4の細胞内局在が重要であることを発見できた。また、局在観察のための蛍光標識線虫株や、表現型をレスキューする線虫株の作成にも成功しており、順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
当該年度に得られた研究結果を論文発表する上で必要な、補助的実験を実施する。それと並行して、アクチン細胞骨格の空間分布をRGA-3/4に基づいて説明するための計算機シミュレーションも行っていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分子生物学実験試薬について、販売業者が値引きを提供してきたためである。これらの値引きは不定期のものであり、事前予測は困難であった。 前年度に得られた研究成果を発信するため、学会参加費として活用することを計画している。
|
Research Products
(2 results)