2013 Fiscal Year Research-status Report
経験水温の相違を利用した、ニホンウナギの天然加入個体と放流個体の識別法の開発
Project/Area Number |
25830149
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
海部 健三 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (30615258)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ニホンウナギ / 資源保全 / 放流 / 耳石 / 酸素安定同位体比 |
Research Abstract |
ニホンウナギの持続的利用と保全に貢献するため、耳石酸素安定同位体比に基づいて天然加入個体と放流個体を識別する方法を開発し、河川で捕獲された個体に応用した。 ニホンウナギの天然加入個体と放流個体の相違点を明らかにするために、天然加入個体(2グループ38個体)と養殖個体(5グループ91個体)の酸素安定同位体比を比較した。次に、得られた指標の有効性を確認するために標識再捕個体(1個体)と、天然加入がほとんどないことが確認されている水系で採集された個体(20個体)の耳石酸素安定同位体比を計測し、先の比較で得られた基準を適用することによって、判別を試みた。また、得られた手法を応用するために河口堰を有する岡山県百間川と四番川で捕獲された個体(2グループ34個体)の判別を試みた。耳石酸素安定同位体比の計測にあたっては、各個体の耳石切片を作成し、沿岸域加入後に形成された部分を削りだした。 その結果、天然加入個体と養殖個体の耳石δ18Oは-6.19±1.12および-9.54±1.37(平均±SD)で、互いに有意に異なっていた(p < 0.0001)。δ13Cは-10.03±0.26および-10.41±0.50で、有意に異ならなかった(p = 0.3695)。確実な放流個体である標識再捕個体は、δ18Oを利用した判別分析によって放流個体と判別された。また、天然加入がほとんどないことが確認されている水系で採集された個体は、2個体を除いて放流個体と判別された。河口堰を有する2河川で捕獲された34個体は、そのすべてが放流個体と判別された。このことにより、これら2河川に設置されている河口堰は,本種の河川内への侵入を阻害していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、初年度は環境の相違を明らかにするところまでであったが、すでに耳石酸素安定同位体比を用いた天然加入個体/放流個体の識別法は確立されつつあり、試験的な応用も試みられている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、天然加入個体と養殖個体のサンプル数を増やすことによって、天然加入個体/放流個体を区分する基準値の値を、より信頼性のあるものとする。また、本種の環境水温と耳石酸素安定同位体比の関係を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度の出張経費を予定よりも低く抑えることができたため、3万円弱の次年度使用額が生じた。 次年度使用額はH26年度請求額の100万円と合わせて、試料採集にかかる経費および試料測定に必要な経費として利用する予定である。 特に次年度使用額の3万円は、昨年度に前倒し支払い請求をした20万円の補填として、試料作成のために利用する。
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Research Products
(6 results)