2014 Fiscal Year Research-status Report
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25840025
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北原 亮 立命館大学, 薬学部, 准教授 (70512284)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | OspA / TDP43 / pressure / NMR / high-energy state |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質は天然状態と完全変性状態の間に多様な変性中間体を持つ場合がある。それら天然状態より高いギブズエネルギーを持つ状態(高エネルギー状態または変性中間体)の、構造、物性、機能発現との関わりを解明することを研究目的としている。課題では、特にライム病の感染に関わるOspA、筋萎縮性側索硬化症ALSの発症に関わるTDP-43のRNA結合ドメインに着目し研究を行った。OspAは28 kDaのタンパク質で、ボレリア菌の表層タンパク質である。これまでに高圧力NMR実験に基づいて、中央からC末端の約150残基が変性した変性中間体を発見している。OspAの安定化に関わる塩橋を欠損させたE160L変異体について、高圧力実験を行った結果、この変異体は野生型に比べ常温常圧下で変性中間体が1000倍以上多く分布することが分かった。また変性中間体の立体構造決定を最終目標とし、はじめに野生型OpsAを用いて天然状態での主鎖及び側鎖について、13C/15N/1HのNMR信号帰属を概ね終了した。化学シフト値を用いた2次構造予測からは、水溶液中でも結晶構造と同じ2次構造を有することが予測された。さらに13C/15Nダブルラベル試料及び13C/15N/2Hトリプルラベル試料についてNOESY測定を行い、立体構造計算を遂行中である。TDP-43のRNA結合ドメイン(RRM1)について、高圧力NMR実験から、一部の領域が分子間相互作用によりコンフォメーション変化し「ミスフォールド状態」としてトラップされ、SS結合ダイマー化及び凝集の引き金になるという仮説を立てた。コンフォメーション変化する領域に相互作用する化合物は、ダイマー化及び凝集に影響を与えることが期待されるためポリフェノールを中心に10以上の化合物について、凝集阻害・促進効果を調べた。これまでのところ、複数の化合物でダイマー化を促進する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
OspAの変性中間体の立体構造解析を最も高い到達点としている。950 MHz NMR(大阪大学)を用いた超高分解能測定により、100%のNMR信号帰属を目指したが、28 kDaと非常に大きいこともあり、いまなお帰属に不確実性がのこるとともに、構造解析に十分な量の距離情報の収集に至っていない。そのため、OspA全長を用いた構造解析をもう少し続ける一方、今後は構造形成部分と変性部分の2つのフラグメントに分けて構造解析することにより、変性中間体の構造モデルの構築を試みる予定。TDP-43 RRM1ドメインのミスフォールド状態については、ダイマー形成の阻害を目標としてポリフェノール化合物を用いたダイマー形成阻害評価を行った。凝集阻害効果を示す化合物は得られていないが、逆に明確な促進効果を示す化合物は複数得られたため、相互作用部位の特定など、今後の展開の指針となる結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
OspAについて、①高圧力NMR法により三重共鳴NMR実験に基づいて、変性中間体のNMR信号帰属を進める。②変性中間体の構造解析を行う。③ ②において、構造解析の目処が立たない場合は、構造形成領域と変性領域の2つのフラグメントを作成し、別々にNMR構造解析を行う。 TDP-43 RRM1について、①圧力摂動や経時変化に伴うNMRスペクトルの変化から、ミスフォールド状態の解析を行う。DTTなどを用いた還元条件下で、ミスフォールド状態を長期間トラップし、NMRにより種々の構造情報の収集を行う。②ポリフェノール化合物を中心に、凝集阻害化合物の探索を行う。凝集阻害または促進効果を示した化合物との相互作用をNMRを用いて解析する。
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Causes of Carryover |
2014年3月中にタンパク質培養精製に必要な消耗品の購入のため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
タンパク質の培養精製ための消耗品を購入する。
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Research Products
(6 results)