2013 Fiscal Year Research-status Report
生理活性物質重合オステオポンチンの新機能 -炎症における作用機序解明-
Project/Area Number |
25840034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西道 教尚 広島大学, 保健管理センター, 研究員 (00583486)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 炎症 / オステオポンチン |
Research Abstract |
1)オステオポンチン及びトランスグルタミナーゼ2の発現をヒト肺2型上皮細胞株、ヒト肝星細胞株をモデルに用いて解析した。その結果、両細胞において炎症性サイトカインTGFβ1の刺激により両分子の増加が観察され、特に肺上皮細胞株では顕著な増加を示した。本細胞株でオステオポンチンの重合が形成されているか、細胞膜画分を抽出してウェスタンブロッティング解析したところ、TGFβ1の刺激によってオステオポンチンの高分子スメアー、つまり重合体の増加が観察された。これらの結果から、オステオポンチン(およびトランスグルタミナーゼ2)は炎症応答に伴って発現が増加し、かつ少なくとも細胞表面にて重合が形成されることが判明した。 2)生体内における重合オステオポンチンの局在を病理組織標本を用いた免疫組織化学染色により検討した。現在重合オステオポンチン特異抗体がないため、当研究室で樹立したポリマー、モノマー両方を認識する抗体とモノマーのみを認識する抗体の染色パターンにより重合オステオポンチンの同定を試みた。その結果、両抗体でオステオポンチンの染色が観察されたが、染色パターンに大きな違いが認められず、重合体の明確な局在の同定には至らなかった。 3)発現細胞表面上の重合オステオポンチンの好中球への遊走能をtranswell insertを用いた細胞遊走試験により検討した。その結果、オステオポンチン阻害の有無に関わらず好中球の遊走に差異は認められなかった。 4)次年度の病理モデルマウスを用いた実験の為、当研究室で樹立したオステオポンチン重合阻害抗体、N末断片中和抗体及びインテグリンα9β1機能阻害抗体のマウスキメラ化に着手し、いずれの抗体も動物細胞の無血清培養可能な発現系の構築に成功した。また、重合不能変異オステオポンチン発現マウスおよび野生型オステオポンチン発現マウスの交配により次年度に使用する個体の確保に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の大きな検証目的の一つである「オステオポンチンが炎症応答により発現を増し、かつ重合化する」ことが明らかとなった。一方生体内における重合オステオポンチンの局在の同定には至らなかった。上記の記載の通り、認識パターンの異なる2種類の抗体の染色による識別は想定したよりも困難である事が分かり、重合特異抗体の樹立が必要であると考えられた。また好中球への作用は生体内にて想定よりも複雑な機構で作用しているのかもしれない。そこで試験管内での評価よりも生体内での評価により重点を置くべきであると考え、次年度の検討課題を遂行するのに必要な各種阻害抗体および遺伝子改変マウスを前倒しで準備し、体制を整えた。
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Strategy for Future Research Activity |
ブレオマイシンによる肺傷害(炎症、線維化が起こる)モデルにおいてオステオポンチンの重合の可能性が示唆されている。よって、病理モデルとして特にブレオマイシンモデルにフォーカスし、上記作製抗体およびオステオポンチン遺伝子改変マウスを用いてオステオポンチン重合と疾患の関係を解析していく。 生体内での重合オステオポンチンの局在は、重合不能変異オステオポンチン発現マウスに重合オステオポンチンを免疫して重合オステオポンチン特異抗体を樹立、使用することで上記問題点を克服する。また、好中球への作用に関しては、オステオポンチンタンパク質のみを本細胞に作用させる事で細胞が発現する他の因子の関与を排除して再評価する。
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Research Products
(4 results)