2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内局在特異的なIKKβを介したネクローシスの制御と炎症と発がんの連関
Project/Area Number |
25840035
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
土谷 佳弘 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (90611301)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肝がん / 肝線維化 / IKK |
Outline of Annual Research Achievements |
キナーゼ活性非依存的な核内IKKβの炎症と発がんにおける役割を解明するために、核移行シグナル(NLS)を付加したキナーゼ活性化欠損型遺伝子(NLS-IKKβKN)をIKKβf/fマウスの受精卵に導入してトランスジェニックマウス(Tg-NLS-IKKβKN IKKβf/f)を作成した。このマウスをCre発現マウス(Alb-cre)と交配して肝細胞特異的に内在性IKKβ遺伝子を欠失させたマウス(Tg-NLS-IKKβKN IKKβΔhep)を作成したところ、出生直後から肝小葉における広汎なネクローシスと細胆管反応が進行し、持続的な炎症細胞の浸潤に伴った線維組織の進展により重篤な肝硬変の病態を呈した。さらにこのマウスに対してジエチルニトロサミン(DEN)投与によるHCC誘発モデル実験を行った。肝細胞特異的IKKβ遺伝子欠損マウス(IKKβΔhep)では高頻度にHCCが発生するのに対して、Tg-NLS-IKKβKN IKKβΔhepマウスではHCCは顕著に減少していた。 Tg-NLS-IKKβKN IKKβΔhepマウスの肝臓ではDEN投与により誘導されるDNA損傷が軽減されていることがP-H2AX抗体を用いた免疫染色法により明らかとなった。このことからTg-NLS-IKKβKN IKKβΔhepマウスはDEN投与によるDNA損傷が軽減されているためHCCが抑制されることが示唆された。今後の課題としては、Tg-NLS-IKKβKN IKKβΔhepマウスおいてDENなどの変異源物質の影響が軽減される分子機構を解析する必要がある。
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