2013 Fiscal Year Research-status Report
多光子励起光活性化法を利用した生体深部の単一細胞内cAMP濃度制御手法の開発
Project/Area Number |
25840044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大友 康平 北海道大学, 電子科学研究所, 特任助教 (40547204)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多光子顕微鏡 / 多点走査型共焦点顕微鏡 / 超解像顕微鏡 / 光刺激 |
Research Abstract |
生体深部におけるcAMP濃度変化追跡を目的とし、マイクロレンズアレイを採用した回転式ニポウディスクによるマルチポイントスキャナを用いた多光子顕微鏡システムの構築を行った。本システムは、スキャンに高速でも安定に回転するディスクを用いていることから、通常の多光子顕微鏡が採用するシングルポイントスキャン方式の欠点である、高速画像取得の際の低精細性を克服している。また、蛍光を分光できる仕様とし、多色イメージング、FRETイメージングが可能なシステムとした。本システムは、生体深部における蛍光シグナル変化を高速かつ高精細に追跡できるツールとなることが期待される。本研究成果は平成26年4月13-16日にオーストラリア シドニーにて行われたFocus on Microscopy 2014 (FOM2014) にて報告を行った。 さらに、光の回折限界以下の構造を追跡できる多光子顕微鏡の開発を行った。既存の多光子顕微鏡システムに対し、透過型液晶デバイスを介した誘導放出誘起光を導入することで、超解像顕微鏡化を達成した。こちらは当初の研究計画には含まれていなかったが、多光子励起光活性化法と組み合わせることで、細胞内微小構造変化追跡に役立つことが期待される。本研究成果についても、FOM2014にて報告を行った。 また、三次元培養細胞系の構築および関連タンパク質のプラスミド作成、哺乳類培養細胞への最適化は概ね完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、多光子励起イメージング用の励起光走査についてシングルポイントスキャン方式を想定していたが、より質の高いイメージングを行うため、マルチポイントスキャン方式の多光子顕微鏡の開発を行った。その結果、高速画像測定においても高精細な画像取得が行える多光子顕微鏡システムの構築に成功した。これにより、BsPACの活性化に伴うcAMP動態変化の高精細追跡が実現できることが期待される。 また、当初の計画には含まれていない超解像顕微鏡構築にも成功した。これにより、細胞内二次伝達物質であるcAMPの光操作が細胞内微小構造に与える影響をつぶさに解析できることが期待される。 三次元培養細胞系の構築およびBsPAC、cAMPセンサータンパク質のプラスミド作成、哺乳類培養細胞への最適化は概ね計画通りといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に構築したマルチポイントスキャン方式多光子顕微鏡システムに対し、多光子励起光活性化のためのレーザー光の導入を行う。顕微鏡筐体の左側メインポートをマルチポイントスキャナと接続していることから、背面ポートに対し導入光路を構築し、対物レンズ直前のフィルターキューブ内ダイクロイックミラーにて励起光、刺激光の合波を行う。システムの構築が完了し次第、BsPACの光刺激、活性化に伴うcAMP動態イメージングを行う。 また、同試料について、初年度に構築した多光子超解像顕微鏡を適用することで、cAMP濃度変化に伴う細胞内微小構造変化追跡にも挑戦したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、購入を予定していた三次元培養細胞キットを別予算から購入したこと、購入を予定していた高波長分解能分光器の購入が困難だと判断し、取り止めたことにより計上予算に変更が生じた。当該予算は高感度sCMOSカメラ、蛍光タンパク質プラスミドの購入、北米神経科学学会2013での情報収集のための旅費に充てたことで差額85,120円が生じた。なお、3月に納品されたsCMOSカメラと蛍光タンパク質プラスミドに計上した1,051,511円は支払いが4月となってしまったため、次年度使用額に含まれている。 差額85,120円は光学部品費に充てることで、多光子励起光活性化のための導入光路を構築する。
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