2013 Fiscal Year Research-status Report
人工エキソ/エンドサイトーシス系の界面解析と標的特異的分泌/取り込み系への展開
Project/Area Number |
25840051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
田所 哲 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20389109)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リポソーム / エキソサイトーシス / エンドサイトーシス / 人工細胞 |
Research Abstract |
我々は、細胞サイズの巨大リポソーム内に微小リポソームを含有させ、Caイオンを流入させることで微小リポソーム内の物質を外部に分泌できる人工エキソサイトーシス系を構築した。また同様に、巨大リポソームを用いて外部のナノ粒子を内部に取り込む人工エンドサイトーシス系の構築にも成功した。本研究では、これらの人工系を用いて、脂質組成や系の物理化学的性質とエキソ/エンドサイトーシス活性との相関を明らかにして、より高効率な系へと改良する。さらに特定の環境下で分泌あるいは特定の標的を取り込むエキソ/エンドサイトーシス系へと発展させることを目的とする。初年度は、構築した人工系の脂質組成やGUV内外の浸透圧差とエキソサイトーシス活性との相関について検討を行った。 GUV内外の浸透圧比(GUV外液の浸透圧/GUV内液の浸透圧)として、2.8、3.2、3.6、4.0で検討を行ったところ、4.0の時に最も融合効率が高く、2.8と3.2の時には膜融合が引き起こされなかった。次に、巨大リポソーム側と微小リポソーム側で、どちらのホスファチジルセリン(PS)がエキソサイトーシス活性に重要であるか検討を行った。膜の成分としてPSを含む巨大リポソームを用いた時には、微小リポソーム側のPSの有無に関わらず、エキソサイトーシス様の膜融合が観察された。その一方で、膜の成分としてPSを含まない巨大リポソームを用いた時には観察されなかった。これらの結果は、エキソサイトーシス様の膜融合において、巨大リポソーム側のPSが重要な役割を果たしていることを示唆するものである。これらの結果は、エキソサイトーシスの分子機構解明に寄与するものと考えられる。今後は、標的特異的な人工エキソ/エンドサイトーシス系の開発に取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脂質組成や系の物理化学的な性質とエキソサイトーシス活性との相関については、予定通り検討を行うことができた。その一方で、脂質組成や系の性質とエンドサイトーシス活性との相関については、検討を行うことができなかった。したがって、現在までの達成度としては、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、これまでに構築した人工エンドサイトーシス系を用いて、脂質組成や系の物理化学的性質とエンドサイトーシス活性との相関を明らかにする。また、人工エキソ/エンドサイトーシス系に特異的な分子認識能を付加して、特定の環境下で分泌、あるいは特定の標的を取り込む系へと発展させる予定である。具体的には、アルツハイマー症の原因となるアミロイドβを認識して分泌・分解するエキソサイトーシス系の開発、および動脈硬化の原因となるコレステロール複合体を取り込むエンドサイトーシス系の開発を行う予定である。
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