2013 Fiscal Year Research-status Report
質量分析法を用いたリボソーム複合体のsemi-in vivo溶液構造解析
Project/Area Number |
25840052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山本 竜也 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (70437573)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リボソーム / 構造機能相関 / 細胞 |
Research Abstract |
多くの抗生物質がターゲットとしている70Sリボソームは3種類のRNAと55種類のタンパク質によって構成される超巨大な複合体であり、その構造機能相関は主にX線結晶構造解析やクライオ電子顕微鏡によって大きく解明が進んだ。それらの情報は座標情報を与えかつ高分解能であるが、構造情報を応用するには溶液構造でかつ細胞外の刺激に対する経時的な構造変化について計測することが重要である。それらの課題を解決するため、本研究ではMALDI-TOF型質量分析とH/D交換による質量変化を用いて、精製物ではなく細胞の持つ内在性リボソームが細胞外刺激に対してどのような構造変化を引き起こすのかを測定する測定法開発を行った。 初年度はE.coliを対象に測定法開発・最適化を行った。申請段階で菌体そのものをMALDIプレートに載せマトリクスを添加するだけで30を超えるリボソームタンパク質のピークを得られていたが、有効な解析を行うために2つの課題があった。一つ目はH/D交換実験に適用するには菌体内リボソームを重水へ同時に曝す必要があること、二つ目はその処理による各ピークのブロードニングを超えるS/N比で測定を行う必要がある点であった。一つ目の課題はパルス超音波による細胞膜破壊で解決を図った。二点目は溶液中のCellデブリと脂質成分によるS/N比の低下を多段階の遠心処理で回避し、ピーク感度をマトリクスの溶液調整によって最適化した。その結果1mgの細胞に10uLの重水を加えてH/D交換を行いパルス超音波処理と多段階遠心を行うことで、45種類のリボソームタンパク質のダイナミクスを一斉検出することに成功し、細胞内リボソームの構造変化情報を得る基盤が構築できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
進行速度は概ね計画通りに進行している。試行錯誤の末、当該年度の最大目的であるMSスペクトルのS/N比向上に成功し、帰属可能になったデータ量が計画以上に増加したため、今後の薬剤効果研究に期待が持てる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で開発した方法を使って、抗生物質を菌体に与えた時のリボソーム構造に対する効果を見る。その時、抗生物質濃度や効果が出るまでの時間を測定することで、薬剤効果とリボソームの立体構造ダイナミクスの関係を直接的に明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた国際学会による成果報告をより適した学会に変更し、年度を超えた。 現在の研究結果によって購入品が変わるため。 国際学会による成果報告。試薬購入。
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