2014 Fiscal Year Research-status Report
質量分析法を用いたリボソーム複合体のsemi-in vivo溶液構造解析
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25840052
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Research Institution | Suntory Foundation for Life Sciences |
Principal Investigator |
山本 竜也 公益財団法人サントリー生命科学財団, その他部局等, 研究員 (70437573)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リボソーム / 構造機能相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内の巨大複合体構造(本申請内ではリボソームに絞って)のダイナミクスを解析し、その複合体の生体内での機能解析を行うために、質量分析とH/D交換法を用いた分析法の開発、及びその利用による生命現象の解明を進めている。本年度は大きく2つの研究を進めた。一つ目は初年度に開発した1mg大腸菌細胞抽出液のリボソームダイナミクスを検出する方法を高度化しつつ、抗生物質を使った応用実験に着手した。リボソーム構造の動きをLOCKする作用を持つフシジン酸を用いた阻害実験では、大腸菌に一定の時間と濃度で抗生物質を作用させ、細胞を一度洗った後に微弱なパルス超音波による膜破壊と重水投与を同時に行う。その後遠心分離で数分間分離し、2段階の上精処理を経てMALDI-MSによる測定を行った。結果としては細胞のフシジン酸排出機構の速度が速く、mM濃度の実験でも顕著な差を検出できていない。今後は構造変化こそ少ないが確実に作用するゲンタマイシンなどを用いて更なる実験を進める。 二つ目は真核生物細胞(ヒト由来のHEK293T)を用いた方法論開発を行った。基本的には大腸菌の時と似た方法であるが、蛋白質数が多いことや脂質の性質の違いで当初全く検出できなかったが、溶媒条件等の最適化で現状では約20程度の蛋白質について帰属できた。他にも多くのピークが検出できているため、それらの同定作業を行っており、翻訳後修飾による変化などを含めて、次年度の成果が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原核生物においては高品質な質量分析データを取る方法論を開発できた。一方で真核生物(ヒト)細胞由来のデータにはさらなる改善の余地あり、計画は年次計画通り順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
効果の高い抗生物質による原核生物リボソーム構造への作用を、本研究により開発した方法で検出する。この時抗生物質の濃度や、リボソームに直接作用するまでの時間などを計測していく。また真核生物(ヒト培養細胞)による方法論開発を進め、Cell cycleに関連した構造変化まで検出することを目指す。
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Causes of Carryover |
実験データの精度が想定していたものより良いため、当初の計画よりインパクトのある論文を目指し、次年度の成果を含めて論文投稿するために、投稿時期を次年度に先送りした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
英文校閲、論文投稿費用。試薬購入。
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Research Products
(1 results)