2014 Fiscal Year Annual Research Report
動的構造解析によるOct3/4の多様なDNA配列認識機構の解明
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25840059
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Research Institution | Suntory Foundation for Life Sciences |
Principal Investigator |
小沼 剛 公益財団法人サントリー生命科学財団, その他部局等, 研究員 (10631682)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非特異的DNA結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
転写因子であるOct3/4はSpecificドメイン(POUSP)とHomeoドメイン(POUHD)の2つのDNAドメインを形成し、20 アミノ酸残基程度のリンカーで繋げられたマルチドメイン蛋白質である。本研究では、このOct3/4のDNA認識機構を解明するため、主に溶液NMRを用いた動的構造解析を試みた。 まず、最初に大腸菌によるOct3/4の大量発現を行い、精製を行った。しかしながら、NMR測定条件下において凝集が生じた。そこで本蛋白質のDNA探索に最も寄与していると考えられているPOUHDだけの発現および精製を行った。その結果、同測定条件下において凝集は観察されず、NMR測定を行うことが可能となった。そこでPOUHDしのHSQC測定を行い、さらに三次元測定によるシグナル帰属を行った。 次に、遊離状態から結合状態に至る過程を解明するため、Oct3/4 にDNAを少量ずつ添加し、その都度HSQC測定を行った。その時のシグナル変化を定量的に解析することで、DNAへの結合力および非特異的DNA結合状態の存在比率を明らかとした。さらにDNA存在下における動的構造部分を検出するため、CLEANEX-PM測定を行った。これによりPOUHDのN末端側にある天然変性領域が非特異的なDNA認識に重要であることを明らかとなった。また、ITC測定を行うことで、そのN末端領域がもともとDNAに存在している水を排除して結合することが明らかとなった。 以上の結果から、POUHDは天然変性領域であるN末端をきっかけとして最終結合状態に至るというDNA結合モデルを提唱する。また、他の多くの転写因子でも天然変性領域を有しているため、本研究で明らかとした構造物性およびDNA結合モデルは一般性があると考えられる。
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