2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞内pHとセカンドメッセンジャーの協調的な振る舞いの解析
Project/Area Number |
25840062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
森本 雄祐 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 基礎科学特別研究員 (50631777)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生物物理 / シグナル伝達 / 細胞性粘菌 / 細胞内pH / セカンドメッセンジャー |
Research Abstract |
細胞内pH は細胞のシグナル伝達において、重要な要因の一つとして働いている。しかしながら、実際にはシグナル伝達における細胞内pH の詳細な役割は明らかではない。その理由の一つが、細胞内でシグナルとして働くcAMP、Ca2+、イノシトールリン脂質などのセカンドメッセンジャーと細胞内pH の関係が明らかでないためである。本研究課題では、細胞内pH とcAMP、イノシトールリン脂質などのシグナル伝達物質を同時計測することにより、細胞内pH の細胞内シグナル伝達における役割を明らかにすることを目的としている。本年度は計測のための実験系の確立を主に行なった。 過去の細胞性粘菌研究における細胞内pH計測には、pH感受性蛍光色素が用いられている。しかし、色素を導入する作業を省き、より非侵襲な状態での細胞内pHを測定するためには、pH感受性蛍光蛋白質の利用が最適である。これまでに、pH感受性蛍光蛋白質を発現する細胞株を用いて、顕微鏡下のシングルセルレベルでの細胞内pH変化を定量的に経時計測可能な計測システムを確立した。また、pH感受性蛍光タンパク質と、PIP3が結合するPHドメインを蛍光蛋白質でラベルした融合タンパク質を共発現する細胞株を作製し、細胞内pHとイノシトールリン脂質の同時計測が可能になった。さらに、バクテリオロドプシンを同時発現する株も作製しており、光刺激による人為的pH制御も可能となった。 今後は細胞内pHとイノシトールリン脂質の分布に高い相関が見られる条件を検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の実験に用いる計測システムと必要な細胞株の作成に成功した。今後は、これらを用いてさまざま実験条件での計測を実施していく。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞内pHとイノシトールリン脂質などのセカンドメッセンジャーとの同時計測を行っていく。 両者の細胞内分布に高い相関が見られる条件を検討することが必要であり、細胞性粘菌の単細胞期だけではなく、細胞集合期や多細胞期など幅広いステージでの観察を行うことで、細胞内pHが最も重要な働きをするシグナル伝達経路の特定を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度は遠方での国内学会への参加が少なかったため、残額が生じた。 今年度は前年度と逆に遠方での国内学会への参加が多くなるため、そちらで使用する予定である。
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Research Products
(11 results)