2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25840064
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐野 孝光 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (10399967)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 脂質 / ホスファチジルセリン / レトロマー複合体 / 出芽酵母 |
Research Abstract |
生体膜は脂質二重層を形成し、それを構成するリン脂質は非対称に分布している。ホスファチジルセリン(PS)は、細胞膜では内層(細胞質側)に多く存在しているが、ERやゴルジ体では内腔側を向いており、細胞膜とは異なる脂質非対称性制御機構の存在が示唆される。本研究では、PSプローブであるGFP-Lact-C2を用いて、細胞内PS局在に異常が生じる変異株をスクリーニングし、得られた因子を解析することにより、内膜系の脂質非対称性制御機構の解明を目指す。 今年度は、生育に必須でない遺伝子欠損株セットを用いて、細胞内PS局在に異常が生じる変異のスクリーニングを行った。今年度中に全非必須遺伝子(約4,500遺伝子)の解析を終了し、その結果、46遺伝子を同定し、遺伝子の機能とGFP-Lact-C2の局在から6つのグループ(EE-TGN経路、LE-TGN経路、ミトコンドリア機能、ESCRT complex、液胞融合、クラスリンを介した輸送)に分類した。また、同定された因子のうち、後期エンドソーム(LE)からトランスゴルジ網(TGN)への逆行輸送を仲介するレトロマー複合体に着目し、細胞内PS輸送への関与について検討を行った。レトロマー複合体の欠損株では、GFP-Lact-C2は液胞膜に局在しており、レトロマー複合体が後期エンドソームからTGNへPSを選択的に輸送する可能性が考えられた。また、レトロマー複合体のVps5とVps17はPS依存的にリポソームと結合し、その結合にはVps5とVps17のBARドメインの持つ正電荷アミノ酸が重要であった。これらの結果から、レトロマー複合体の構成因子であるVps5とVps17が、負電荷を持つPSと電荷により結合し、後期エンドソームからTGNへPSを輸送する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度行う予定であった酵母遺伝子欠損株セットを用いたPS局在に異常が生じる変異株のスクリーニングをすべて終了することができ、次年度に繋がる結果を得た。また、スクリーニングにより得られたLE-TGN経路に関わる因子の解析を順調に進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングにより同定された因子の解析を、LE-TGN経路に関わる因子を中心に行う。具体的には、レトロマー複合体のVps5とVps17がPS以外の脂質(PE, PI, PA等)と結合するかを、Liposome flotation assayにより調べる。また、Vps5とVps17はチューブ構造を形成することが知られているため、形成されたチューブ構造にPSが多く分布しているかをin vitro tubulation assayにより解析する。また、PSとの結合が低下したVps5,Vps17変異体を用いて、in vivoにおけるCPY分泌、細胞内PSの局在への影響を調べる。 当初の計画では、次年度、PS局在に異常が生じる変異株のスクリーニングを必須遺伝子に対して行うことを予定していたが、酵母遺伝子欠損株セットを用いた非必須遺伝子に対して行ったスクリーニングにより、興味深い因子が得られたため、そちらの解析を優先して進めていくことに変更した。
|