2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25840068
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
溝口 貴正 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (10645419)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ユビキチン化 / Mind bomb / p120ctn / 細胞移動 |
Research Abstract |
細胞が互いに接着を保ったまま移動する“細胞集団移動”は器官形成、組織修復、ガン細胞の組織浸潤などに見られる普遍的な生命現象であるが、その詳細は不明な点が多い。申請者はE3 ユビキチンライゲースであるMind bomb(Mib)がp120catenin(p120ctn)のユビキチン化を介して細胞集団移動を制御している可能性を新たに見出した。本研究では培養細胞、ゼブラフィッシュをモデルとして細胞集団移動におけるMib とp120ctn の機能を明らかにすることを目指す。 ユビキチン化はタンパク質中のリジン残基にユビキチンが付加する現象である。またユビキチンがひとつだけ付加するのか、複数付加するかによって異なる機能制御を受ける。そこで本年度はp120ctn においてユビキチン化されるリジン残基を同定するとともに、そのユビキチン化様式を明らかにするために研究を行った。まずp120ctnの断片化コンストラクトを作製し、大まかなp120ctnのユビキチン化領域を決定した。その結果540a.a.-584a.a.の領域がモノユビキチン化されることが分かった。そこでこの領域に存在するリジンをアルギニンに置換した変異型コンストラクトを用い解析を行った結果、最終的にp120ctnのMibによるユビキチン化サイトは547番目のリジンであることが明らかとなった。 次にユビキチン化によってp120ctnがどのような制御を受けるのか検討した。培養細胞においてp120ctnを過剰発現すると仮足の形成が促進され細胞形態が著しく変化する。P120ctnと野生型のMibを共発現させるとp120ctnによる仮足形成は抑制された。これに対してライゲース活性のないMibを共発現させても仮足形成の抑制は見られなかった。以上のことからMibはユビキチン化を介してp120ctnの機能を抑制的に制御するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書で掲げた研究目的(A)p120ctn のユビキチン化されるリジン残基とユビキチン化様式の解明、(B)ユビキチン化された p120ctn はどのような制御を受けるのかを明らかにする。(C)Mib によるp120ctn のユビキチン化を介した細胞接着や細胞移動制御メカニズムの解明(D)ゼブラフィッシュ側線原基の移動におけるp120ctn の機能とMib による制御の解明。のうち本年度は半分の(A)と(B)を達成できた。このことから当初の研究計画通り研究が進んでおり、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
p120ctnの機能として大きくCadherinの膜局在の安定化と低分子量Gタンパク質の活性制御があげられる。現在までのところMibによるユビキチン化はカドヘリンの膜局在には影響しないことを示唆するデータを得ている。そこで今後は低分子量の活性化に的を絞った解析を進めていく。p120ctnは低分子量Gタンパク質の一つであるRhoAと直接相互作用し、その活性化を抑制することが示されている。そこでユビキチン化により、p120ctnとRhoAとの相互作用が変化するのか検証する。またRhoAの活性変化がp120ctnのユビキチン化により変化するのかも合わせて解析する。 RhoAを抑制的に制御する一方で、p120ctnは別の低分子量Gタンパク質Rac1,Cdc42を活性化することも報告されている。そこでp120ctnによるRac1, Cdc42の活性化がユビキチン化により影響されるのか検証する。これまでのところp120ctnによるRac1, Cdc42の活性化はRac1, Cdc42の活性化因子であるVav2を介して行われると考えられており、p120ctnとVav2は相互作用することが報告されている。そこでp120ctnのユビキチン化がVav2との相互作用に影響を及ぼすのかも検証する。 さらに培養細胞を用いた解析結果をもとに側線原基の移動におけるp120ctnとMibの機能について明らかにする。具体的にはトランスジェニックフィッシュを用いて、前述の低分子量Gタンパク質の下流因子であるアクチンの側線原基における動態をライブイメージングする。これによりp120ctnのユビキチン化が個体内の細胞移動に与える影響を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はゼブラフィッシュのp120ctnに特異的な抗体を作製する予定であったが、抗体作製に必要な十分量の抗原タンパク質を精製することができなかった。そのため抗体作製を行うことができなかったため。 本年度作製できなかったゼブラフィッシュp120ctn特異的な抗体作製に用いる。
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