2014 Fiscal Year Annual Research Report
新たな小胞体調節因子PecanexのNotchシグナル活性化における機能の研究
Project/Area Number |
25840074
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山川 智子 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20645402)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Notchシグナル / 小胞体 / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
ショウジョウバエPecanex (Pcx)は、Notchシグナル伝達の構成因子であり、小胞体の形態形成に関与することが知られています。私は、pcxを介した小胞体とNotchシグナル伝達との関連について研究を行っています。 これまでに、pcxと遺伝的に相互作用する調節遺伝子を6遺伝子同定しており、1遺伝子については未同定です。平成26年度における研究では、未同定な1遺伝子を、3遺伝子 (CG4269、CG4294、RpS16)まで候補を絞ることができました。これら3遺伝子の中に既知のNotchシグナル伝達構成遺伝子が含まれないことから、新規構成遺伝子を同定できる可能性が期待されます。また、これまでに得られたpcx調節遺伝子の中の1つ、小胞体の形態形成に関与すると報告されるNsf2に関して、ATPase活性のみを欠失した突然変異体を用いて調べたところ、pcxとNsf2の相互作用にATPase活性が必要であることがわかってきました。さらに、pcxが発生過程におけるどのNotchシグナル伝達に必要であるのかを調べました。pcx突然変異体は胚性致死を示しますが、pcx突然変異細胞クローンのモザイク個体を作製することにより、サナギの時期におけるpcxのNotchシグナル伝達への影響の有無を調べることが可能です。その結果、pcxは初期胚のNotchシグナル伝達や小胞体の形態形成にのみ必要であることがわかってきました。このことは、Nsf2がショウジョウバエ初期胚で発現する報告とも一致しています。また、これらの結果から、発生過程の時期によってオルガネラの性質が変化し、それによって制御されるシグナル伝達も変遷する、という仮説を考えることができました。
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