2014 Fiscal Year Research-status Report
Nodalシグナルによるepiblastの未分化維持機構の解明
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25840087
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
沖 真弥 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90452713)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Nodal / エピブラスト / 中胚葉誘導 / 原条形成 / 多分化能 |
Outline of Annual Research Achievements |
Nodalシグナルは着床初期のマウス胚においてエピブラストの多分化能維持に必要であるだけでなく、のちの中胚葉誘導を引き起こし、さらには神経化を抑制するという多機能性を有する。これまでの研究で、Nodalシグナル阻害剤をもちいた網羅的発現解析により、Nodalシグナルの直接的な標的遺伝子を複数同定してきた。本年度はその中でも多分化能維持、中胚葉誘導、神経化抑制に直接関わるような遺伝子を絞り込むことができた。つまり、それら遺伝子の機能低下はNodal変異マウス胚と似た異常を示し、上記の3つのイベントが抑制された。また、バイオインフォマティクスの手法を用い、これらの標的遺伝子の発現がNodalシグナルによって直接的に制御されているという予測を得た。今後はそれらの制御機構をさらに裏付けるために、予測された調節領域の欠失解析を行い、その表現型をNodal変異胚と比較する。 ここでもちいた情報解析技術をより広くバイオ研究者が利用できるようにするために、SraTailorというGUI (Graphical User Interface) ソフトウェアを開発した。これは、ユーザが興味のあるNGS (Next Generation Sequencing) 実験のアクセッション番号を入力し、マウスを数回クリックするだけで、希望のNGSデータを可視化できるという、非常に簡便なソフトウェアである。また、ユーザ自身のNGSデータを入力に用いてデータの可視化や、さらに高度な情報解析も可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多数のNodalシグナル標的遺伝子候補の中から、多分化能維持、中胚葉形成、神経化抑制を担う遺伝子を同定できたため。また、NGS情報解析のための簡易ソフトウェアを開発して論文投稿し、多くのユーザに利用されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
多分化能維持、中胚葉誘導、神経化抑制に直接関わるNodal標的遺伝子について、Nodalシグナルによる調節領域を欠失したマウスを作成し、それら遺伝子の発現変化や、Nodalシグナルに対する依存性を調べる。またそのマウス胚で各種組織のマーカ遺伝子発現を調べ、Nodal変異マウス胚のそれと比較する。さらにそれらの制御機構を緻密に裏付けるため、レポータアッセイなどの生化学的実験を行う。
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Causes of Carryover |
当初は本研究の標的遺伝子の絞り込みに、さまざまな遺伝学実験や生化学実験を予定していたが、既存のNGSデータの情報解析による絞り込みによって候補遺伝子をごく少数に絞り込むことができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスを用いた研究のために、飼育や動物購入に用いる。また遺伝子組換えマウスの作出のために血清や培地、リコンビナントタンパク質などの高価な試薬の購入にあてる。阻害剤を用いたマウス胚の培養のためのラット血清、阻害剤を購入する。生化学的実験のための各種消耗品の購入に使用する。
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Research Products
(7 results)