2014 Fiscal Year Annual Research Report
生殖細胞の性分化・卵形成におけるRNA結合タンパク質の機能解析
Project/Area Number |
25840091
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
加藤 譲 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助教 (60570249)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マウス / 雄性分化 / 卵形成 / Nanos2 / Dazl |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では以下の2つの課題に取り組んだ。 課題1:雄生殖細胞の性分化におけるRNA結合タンパク質 Nanos2とDazlの機能的相互作用の解析 課題2: 卵形成過程における遺伝子Aの機能解析 課題1において申請者らはDazl標的RNAの網羅的同定を行い、Nanos2標的RNAとの比較を行った。その結果、Nanos2標的RNAの約21%がDazlとも相互作用を示すことが明らかとなった。この結果を元にNanos2とDazlは標的RNAに対し拮抗的に働くとの作業仮説を立て、その検証を行った。その結果、Nanos2とDazl共通の標的RNAの発現はNanos2変異体において有意に発現が上昇していた。またDazlはこれらのRNAに対しNanos2変異体においてより強く結合していることを見出した。さらに申請者は雄生殖細胞においてDazlを過剰発現させ、Nanos2のP-bodyへの局在への影響を解析した。その結果、Dazl過剰発現においてNanos2の顆粒、P-bodyの顆粒共に減少していることを見出した。これらの結果からNanos2とDazlは互いに拮抗的に働くことを示唆された。 課題2において申請者等は遺伝子Aの発現を胎児期から性成熟期までタイムコースを追って解析した。その結果、遺伝子AmRNAは大きな変動なく安定して発現が見られたのに対し、遺伝子Aタンパク質は出生後の卵巣において著しく減少することを見出した。続いて申請者らはこの遺伝子A抑制の発生生物学的意義と分子メカニズムを明らかにするため、卵細胞において遺伝子Aを過剰発現させたところ、産子数の著しい減少が見られた。また、この遺伝子Aの過剰発現と産子数の減少は遺伝子A 3'UTR依存的に起こることを明らかにした。このことから、遺伝子Aは生後の卵形成過程において3'UTR依存的に転写後抑制され、その抑制機構は正常な産子数の制御に必須であることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)