2014 Fiscal Year Research-status Report
オーキシン排出トランスポーターPINの偏在化制御機構解明へ向けた多角的アプローチ
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25840101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楢本 悟史 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30612022)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オーキシン / 極性形成 / 細胞膜ドメイン / 細胞壁 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,植物細胞の極性形成機構を明らかにするために,1) MAB4ドメインとPIN2 ドメインとの相関に関する細胞生物学的解析,2) PIN2ドメイン形成複合体の単離および同定,3)新規極性制御因子の機能解析を行った.1)の解析で,PIN2ドメインに関する細胞生物学的解析を行ったところ,mab4変異体下ではPIN2ドメインが消失するとともに,PIN2の細胞膜における拡散性が向上するという予想外の実験結果が得られた.そのため,2), 3)については若干計画を変更し,その代わりにmab4変異体におけるPINタンパク質の多量体形成について,集中的に生化学的に解析を行った.しかしながら,PINタンパク質の多量体形成は,野生型・mab4変異体で変わらないことが明らかになった.この実験結果は,PINはのクラスター構造は,PINオリゴマーが,幾重にも積み重なった,超複合体であることを意味している.2),の解析については,PIN2-GFP発現体から免疫沈降する系を確立した.そして,予備的実験ながら,免疫沈降後の質量分析をかけ,いくつかの候補タンパク質を得ることができた.今後は実験結果の再現性を確認するとともに,実際にPIN2と相互作用するかを確認する予定である.また,3)については,ゲノムシーケンス解析が終了したものについては,マッピングを行った後,候補遺伝子の更なる絞り込みを行った.1)の実験により,予想外の実験結果が出たために,2),3)の実験については,若干の遅れが生じているものの,実験において時間のかかるステップは既に終了していることから,全体としては実験計画は順調に進んでいると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画として,1) MAB4ドメインとPIN2 ドメインとの相関に関する細胞生物学的解析,2) PIN2ドメイン形成複合体の単離および同定,3)新規極性制御因子の機能解析を行った.1)の解析で,予想外の実験結果が得られたため,2), 3)については計画については,多少の実験の遂行に遅れがみられたが,これらの実験に関する十分な予備実験および一部の実験は既に準備済みであり,プレリミナリーなデータながら,既におおよその実験結果を取得済みであるため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度において,解析が終了しなかった,2) PIN2ドメイン形成複合体の単離および同定,3)新規極性制御因子の機能解析については,次年度に行うこととした.既に十分な予備実験済みであり,直ちにこれらの解析に着手したい.また,既に予備データを得ているものについては,再現性の確認を行いたい.
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Causes of Carryover |
平成26年度に,次世代シーケンス解析を行い,van変異体の原因遺伝子の同定を行う予定であったが,PIN2ドメインに関する細胞生物学的解析の結果,mab4変異体下ではPIN2ドメインが消失するとともに,PIN2の細胞膜における拡散性が向上するという予想外の実験結果が得られたため計画を変更して,mab4変異体におけるPINタンパク質の多量体形成を生化学的に解析することとしたため,未使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため,mab4変異体におけるPINタンパク質の多量体形成の生化学的解析,および次世代シーケンス解析によりvan変異体の原因遺伝子の同定を次年度に行うこととし,未使用額はその経費に充てることとしたい.
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Research Products
(2 results)