2014 Fiscal Year Annual Research Report
植物の新奇現象、受精非依存的胚珠肥大現象を利用した受精因子の同定
Project/Area Number |
25840106
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
笠原 竜四郎 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 招へい教員 (40467270)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | バニリン染色 / 受精因子 / 品種改良 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の受精に関する変異体は現在までにほんのわずかな数の報告がなされているのみであり、植物の受精のメカニズムを分子生物学的に理解するためには受精因子を一つでも多く獲得することが必要不可欠である。そこで私はバニリン染色で種皮を染めて受精に失敗していると考えられる変異体を獲得するスクリーニングを行った。研究期間中に13698個体のスクリーニングが終了し、382個の変異体が獲得できている。この変異体の一部に掛け合わせを施し、調査を進めていった結果、雌性配偶体のみに変異を持つものが7つ、雄性配偶体のみに変異があるものが2つ単離出来た。部分染色により花粉管が胚珠に到達していて、かつ雌雄どちらかの変異体であるということは受精に欠損のある変異体と考えて間違いない。ここで注目すべきなのは、このスクリーニング法の効率の良さであった。今までの鞘を開いて稔性を見るスクリーニングの方法で獲得出来た変異体は、配偶体形成そのものに変異を生じる直接受精とは関わりのないものが多数を占めており、非常に効率が悪かったが、今回スクリーニングで獲得出来た変異体はピンポイントに受精に必要な因子に欠損のある変異体であったので、思惑通りの変異体が多数獲得できたことになる。今後はまだ大量に残っている未検査の変異体から受精に欠損のある変異体を効率良く単離して遺伝子同定し、データを集積して植物の受精のメカニズムを分子生物学的に明らかにしていく予定である。植物の受精が分子レベルで理解できれば植物生理学的な知見が広がるのみならず、イネなどの主要作物の受精を自在にコントロールできるようになるなど農学的にもそのインパクトは計り知れない。
|
Research Products
(6 results)