2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25840109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山野 隆志 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (70570167)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | CO2シグナル伝達 / クラミドモナス |
Research Abstract |
これまでの研究より、CO2シグナル伝達因子のマスターレギュレータCCM1と相互作用する因子を免疫沈降法により2つ同定し、P45、P80と名付けた。CO2応答におけるこれら相互作用因子の機能を推定するために、P45、P80をそれぞれコードする遺伝子のノックアウト株の作出を試みた。まず、パロモマイシンに対して耐性を付与するaphVIII遺伝子のPCRカセットを、クラミドモナス雄株C-9に導入し、約60,000株の遺伝子タグ挿入変異株ライブラリーを作成した。形質転換には新たに開発した迅速かつ高効率のクラミドモナス形質転換系(Yamano et al., 2013)を用いた。P45に関しては5’-UTR及び第14エキソンにDNAタグが挿入された変異株を単離した。P80に関しては3’-UTR及び5’-UTRの上流にDNAタグが挿入された変異株を単離した。P80の挿入変異株についてP70抗体を用いて蓄積量の変化を検出したが、野生株と変化はなかった。 CCM 複合体の in vitro 再構成について実験を進めた。大腸菌を用いた CCM1 全長の発現は困難であったため、コムギ抽出胚を用いた in vitro translation により、P80については全長の合成をウェスタン解析により確認した。合成したP80を用いたプルダウンアッセイにより、in vitroにおいてもP80とCCM1の相互作用を検出できた。 CO2シグナル伝達に関わる新奇な因子を同定するために、高CO2要求性を指標とした変異株スクリーニングを行った。約20,000株の遺伝子タグ挿入変異株ライブラリーについて高CO2条件と低CO2条件での生育を比較し、3株の高CO2要求性変異株(H24, H82, P103)を単離し、その表現型について報告した(Wang et al., in press)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異株スクリーニングのための遺伝子タグ挿入変異株ライブラリーについては、当初予定していた30,000株の2倍の60,000株の作成が可能となった。これは新たに開発した、迅速かつ高効率のクラミドモナス形質転換系によるところが大きい。CCM 複合体の in vitro 再構成についても翻訳系が立ち上がり、実際に合成したタンパク質を用いて相互作用の確認ができた。一方で、複合体構成因子の局在とCCM1の翻訳後修飾残基の決定については実験が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
挿入変異株のスクリーニングをさらに続ける。挿入変異株について、低CO2条件下における酸素発生活性、CCM1下流遺伝子の発現についての表現型を調べる。P80について挿入変異株の単離が難しければ、P80が持つ酵素活性部位の恒常活性型・恒常不活性型の変異株を作成し、その表現型を観察する。 CCM1の翻訳後修飾残基の決定については、17個のリン酸化部位が予測されており、現在までに5つの部位についてアラニン置換による恒常的非リン酸化株を作出している。残りの12残基についてもアラニンとアスパラギン酸(恒常的リン酸化)に置換した変異株を作出し、変異 CCM1 複合体の低CO2に対する活性化の有無を調べる。 CCM1、P45、P80の局在変化を調べるために、GFPタグを用いた蛍光観察を行なったが明確なシグナルは得られていない。これはCCM1複合体の細胞内の蓄積量が非常に少ないことによると考えられる。そこで、当研究室に整備された超高感度共焦点蛍光顕微鏡を用いて、CO2濃度を変化させた時のCCM1複合体の局在のタイムラプス観察を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初想定していなかった人件費・謝金、その他の支出が発生し、物品費や旅費の支出に変更が生じたため。 来年度の物品費に補填する。
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Research Products
(10 results)