2015 Fiscal Year Annual Research Report
恒温動物への進化の基盤としての視床下部―下垂体調節機構
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25840115
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岡田 令子 静岡大学, 理学部, 講師 (50386554)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 両生類 / 環境適応 / 温度 / 下垂体 / 視床下部 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の体温維持には、視床下部ー下垂体ー甲状腺(HPT)系による調節が重要な役割を果たしている。すなわち、体温低下を感知すると視床下部での甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)の合成が高まり、TRHの刺激により脳下垂体からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)が放出され、TSHが熱代謝促進作用を有する甲状腺ホルモンの分泌を促進する。一方、変温動物である両生類ではTRHに代わり副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)が強いTSH放出活性を有すること、TRHはプロラクチン(PRL)の放出因子であることがわかっている。本研究は、変温動物から恒温動物への移行が両生類においてどこまで準備され、いかなる内分泌的要因が両生類をして変温動物にとどまらせているのかを明らかにすることを目的として行った。また、無尾両生類の低温環境適応および凍結耐性に関わる因子と、その調節機構を解明することも目的とした。 まず、カエル脳内におけるTRH mRNAの発現に及ぼす温度の影響を検討したところ、ウシガエル視床下部におけるTRH mRNAの発現は低温曝露後24時間以内に上昇することがわかった。低温により脳下垂体におけるPRL mRNAの発現が高まったが、TSHのmRNAの発現レベルには差が見られなかった。これらの結果から、哺乳類で見られる低温によるTRH発現上昇の機構は両生類においても既に備わっていることが示唆された。しかし、両生類においてTRHはPRLの放出因子としてはたらき、TSHの分泌増大を介した甲状腺ホルモンの分泌調節には結びつかないことが、両生類が変温動物にとどまっている要因の一つであると考えられる。さらに、アマガエルを用いて低温環境順応および凍結耐性に関わる因子を調べ、グルコースおよびグリセロールと、それらの輸送体(グルコース輸送体2、4およびアクアポリン9)が本調節に関わっていることを明らかにした。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Morphological, biochemical, transcriptional and epigenetic responses to fasting and refeeding in intestine of Xenopus laevis.2016
Author(s)
Tamaoki, K., Okada, R., Ishihara, A., Shiojiri, N., Mochizuki, K., Goda, T., Yamauchi, K.
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Journal Title
Cell Biosci
Volume: 6
Pages: 2.
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Molecular cloning of cDNA encoding an aquaglyceroporin, AQP-h9, in the Japanese tree frog, Hyla japonica: possible roles of AQP-h9 as a glycerol transporter in freeze tolerance.2015
Author(s)
Hirota, A., Takiya, Y., Sakamoto, J., Shiojiri, N., Suzuki, M., Tanaka, S., Okada., R.
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Journal Title
Zool Sci
Volume: 32
Pages: 296-306.
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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