2013 Fiscal Year Research-status Report
両生魚トビハゼの空間学習を担う終脳領域の機能形態学的研究
Project/Area Number |
25840118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
椋田 崇生 鳥取大学, 医学部, 講師 (60346335)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トビハゼ / 空間学習 / cFosタンパク質 / BrdU |
Research Abstract |
平成25年度は、トビハゼにモリス水迷路学習類似課題を課し、これによって活性化される脳領域の同定を試みた。1日2時間の空間学習を連続して5日間実施することで、実験に供したトビハゼのうち、半数あまりで学習が成立した。非学習個体(ナイーブ個体)と比較すると、学習成立個体では、終脳の背外側領域において神経活動依存的に発現が誘導されるcFosタンパク質陽性細胞が多い傾向が認められた。このことは、終脳背外側領域は、本課題学習に応じて活性化される領域である可能性が考えられる。しかしながら、これまでの解析においてはcFosの免疫染色態度が明瞭ではない場合もあったので、定量化するのに十分な染色態度を得る方法を工夫した。現在までに、凍結切片を用いた蛍光抗体法およびパラフィン切片を用いた酵素抗体法のどちらの手法でも、抗体反応前に適切な膜透過処理を行うことで安定的で明瞭な免疫組織化学像を得られるようになった。 また平成25年度は、空間学習依存的に活性化される脳領域の同定とともに、空間学習がトビハゼ終脳の神経新生に与える影響を明らかにするために、ブロモデオキシウリジン(BrdU)をトビハゼに投与して終脳で細胞増殖活性を調べた。現在、空間学習による効果を検討するために必要なデータを蓄積しつつあるが、これまでの結果から、トビハゼ終脳におけるBrdU陽性細胞は、ナイーブ個体および学習個体ともに正中から背外側にかけての表層領域でその分布を認めた。一方、終脳実質中心部や腹側表層では、BrdU陽性細胞はあまり見られなかった。また、吻尾方向では、尾側にくらべて終脳吻側のほうがBrdU陽性細胞が卓越していた。 本研究課題で平成26年度に実施する予定の事項と並行して、25年度中に解析できなかったナイーブ個体と学習個体のcFosおよびBrdU陽性細胞数の定量化と比較を速やかに実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空間学習課題のそのものと学習成立の指標であるcFosタンパク質の検出において、十分に安定した結果を得られないことがあったのでそれらの改善に取り組んだ。これらの改善策を得るまでに相当な時間を必要としたが、研究計画策定時に、このような検討が生じる可能性を想定しており、一部を平成26年度初頭で実施することにしていたので、本研究課題の進捗の評価をおおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従って、平成25年度から実施している項目を優先的に進めていく。また平成26年度から新たに実施予定である終脳の神経組織学的および神経化学的特性の解明は独立して実施することが可能なので、両者を並行して進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度中に研究代表者の異動が生じたため、その前後の期間に一時的に研究が滞り、未使用額が生じた。 研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含めて当初の研究計画に従って研究費を執行していく予定である。
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